アスワス・ダモダラン教授は、逆張り投資の4つのタイプを解説する。
以下は、ファンダメンタルズの条件を付す2タイプだ。
3. 制約付き逆張り
下げだけでなく、ファンダメンタルズ面やリスク指標の条件を付して買うスタイル。
ダモダラン教授は2つ注意点を挙げている。
- バリュートラップに陥らない工夫が要る。
- 過去のデータだけで判断すれば、将来を見誤りかねない。
このタイプにおいても、効果の大きさについて疑問符が付くようだ。
証拠は、質によるスクリーニングがリターンを向上させ、安く見える銘柄(低PBR)が高い銘柄よりリターンが高いとの仮説を支持している。
そうではあるが、少なくともリターンの年率については、改善幅は期待外れとの証拠がある。
ただし、ボラティリティと推計シャープレシオを考慮すると、改善幅が大きくなる。
4. チャンスをうかがう逆張り
買いたいと思っていたが株価が合わなかったものを下げた機会に買うスタイル。
ダモダラン教授がかねてから奨めてきたスタイルだ。
ダモダラン教授は、投資先としての魅力度を次のように考えている。
- 最も有望: 市場が低く評価する優良企業
- 最も魅力がない: 市場が高く評価する劣悪企業
つまり、価格が高ければ優良企業の株式でも魅力は大きくないことになる。
チャンスをうかがう逆張りのプロセスは市場の調整のはるか前から始まる。
良好・優良な事業と信じる企業を見出すことだ。
ダモダラン教授は従前から、投資先候補のリストを作り、継続的に価値評価を行うことを推奨している。
何か危機があり株価が下げた時は、改めて危機を織り込んだ価値評価を行い、割安という結果ならば投資を行う。
同様に割高になれば売り、その後も投資先候補である限り継続的に価値評価を行うというものだ。
教授は自身もマグニフィセント7等についてこれを実践し、ある時は買い、ある時は売ってきた。
ダモダラン教授は従前から、中央回帰を安易に仮定すべきではないとし、過去データへの過度な依存は危ういと説いてきた。
あくまで価値評価はフォワードルッキングな見地を織り込んで行うべきとの考えだ。
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