オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、母校のシカゴ大学ブース・スクールで講演した。
同氏は学士をウォートン校で、修士をブース校で取得している。
前者は実額、後者は理論で有名な学校だ。
マークス氏は、大学院時代の笑い話を語っている:
シカゴ大学ビジネススクールの教授が学生たちと歩きながら、効率的期待仮説について議論していた。
歩いていると、ある学生が下を見ながら言った:
『5ドル札が落ちている?』
教授は言った:
『あれは5ドル札じゃないよ。
もしも5ドル札なら、とっくに誰かが拾っているはずだ。』
効率的市場仮説が実現している市場では、バーゲンも過大な株価もない。
フリーランチは存在せず、アクティブ運用は役に立たないとの結論になる。
もちろん、ディストレストというアクティブ運用で富と名声を築いてきたマークス氏はこれに反対だ。
「効率的市場仮説は、価格が常に正しいとするが、私の同仮説は、
価格はしばしば間違っているが、それを見つけるのは難しい
というものだ。」
効率的市場ではすべての価格が真正のものとされるが、そうではなく、多くが間違っている。
つまり、現実の市場は完全には効率的でない。
しかし、間違った価格を見つけるのは容易ではない。
その程度には市場は効率的だとの見解だ。
マークス氏は、そこそこ効率的な市場での戦い方を語る。
世界にはより効率的な市場とより効率的でない市場がある。
私の結論は、より効率的でない市場のみを相手にすること。
そこでなら時々バーゲンを見つけることができる。
(次ページ: 質疑応答から)