ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏は、自身の投資戦略にとって中国がなくてはならない投資先だと明かしている。
私にとって重要な問題とは、中国に投資すべきか否かではなく、どれだけ投資するか、なのだ。
私の投資における最大の課題とは、15以上の無相関の良質なリターン・ストリームを確保することだ。
中国はその1つと見ている。
ダリオ氏が自身のSNSで、前回記事についての読者からの質問に答える形で、中国に投資する意味を語っている。
(前回記事: 「マルクス主義的な、日本型の失われた10年へ:レイ・ダリオ」)
ダリオ氏は、自分に関する答と断りをつけている。
自身の投資スタイルにとって、投資対象から中国を除くことはできないとのメッセージだ。
ダリオ氏は、オールウェザー戦略に代表されるとおり、分散の妙で成功を収めてきた。
ダリオ氏の答の中にはウェットな要素の強いもの、定量的に妥当性を測りにくいものもある。
ここでは、より投資手法との関係が深い定性的な答を紹介しよう。
「私の投資手法からして、悪い市場などというものは存在せず、あるのは悪い意思決定だけである。」
ショートを恐れないヘッジファンド・マネージャーからすれば、割高があれば割安もあることになる。
どんな市場でもうまくやれば儲かるのだろうが、もちろん一般投資家の話ではあるまい。
「私は『フェアウェザー(晴天)の友人』でも『フェアウェザーの投資家』でもないので、ブームの時に飛び込んだり、困難な時に逃げたりしない。」
潔い。
オールウェザー戦略の矜持とでも言うべきか。
これをやるには、資産クラスごとの特性・相関を知り尽くす努力が必要だろう。
「中国への投資なくして、望むほどの分散は得られない。」
ダリオ氏は以前、米中が派遣を争うようになるなら両方に張っておけ、と奨めていた。
どちらが勝ってもいいようにだ。
確かに、中国に投資することは分散に寄与するのだろう。
実はそれが日本株の魅力の1つになっているとの話もある。
日本株は米国・中国に同程度のエクスポージャーを持つと主張する人がいる。
実際、日本の貿易相手国別金額は米中が競り合っている。
「私には、前回書いた中国の問題は管理可能に見える。」
「中国経済の指導者らが、『美しいデレバレッジ』を実現するため債務リストラとともに量的緩和を準備している兆しが見える。」
この是非は読者の判断に任せよう。
これがそう容易でないのは、日本人が一番よく知っている。
「すべての市場はファンダメンタルズに対する価格設定によって判断されるべきだ。
どんな時でもよい投資は見つかるものだ。」
こうした楽観はどの投資家にとっても大切なものだろう。
ダリオ氏は前回記事で、すぐにでも中国が「美しいデレバレッジ」に取り組むべきと書いていた。
同氏は実現に期待を寄せているが、本当にそうなるのか、いつになるのか確たる予想はできないだろう。
今回ダリオ氏は、仮に実現するならその時こそ投資のチャンスだと書いている。
多くのサイクル、多くの国で投資をしてきて学んだ格言が『通りが血まみれになっている時こそ買い時だ』というもの。
・・・特にとても確率が高まるのは、経済の指導者が『美しいデレバレッジ』のようなことをしようとする時だ。