ジェレミー・シーゲル教授が、経済・市場への強気スタンスを強め、自身の予想をファインチューニングしている。
実体経済を見てみると、強い。・・・
自問すべきは、FRBが50 bpの利下げだけで終わる場合に、実質GDP、経済成長の強さが持続するかだ。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで米経済の強さを指摘し、リスクが上方側に移った可能性を匂わせている。
「中立金利は、私の推計よりも高いのか?
私の推計はFRBより高く、(実質)1.5%にインフレ2.0%を足して3.5%、おそらく3.5-4.0%と言ってきた。
今週の経済データでそれが上がり、おそらくレンジの中央3.75%程度となった。
これなら(1回25 bpとして)あと4-5回分の利下げで中立金利に達することになる。」
シーゲル教授は、強い経済を反映して、今後のFRB利下げの到達点が高くなると予想した。
これが長期金利予想に与える影響を説明している。
- FF金利と10年債利回りのターム・プレミアムは過去60年で見て1%
- 景気後退期近辺で長短逆転の傾向
- 正常期だけなら1.5%
- FF金利が3.50-3.75%までしか下がらないなら、10年債利回りは6%に向かいかねない
シーゲル教授は、今後何らかの理由でターム・プレミアムが小さくなる可能性がゼロではないとしつつも、可能性は少ないとして、長期金利の上昇が続くと予想している。
(教授の従来の長期金利予想は4.0-4.5%だった。)
教授は米国株市場に話題を移すと
- 良好な企業の利益
- まだ20近くと高いVIXが活発な投資家のヘッジを示している点
を指摘した。
上昇だけでなく、上値余地があると言いたいのだ。
これは全然前のめりの強気相場じゃない。・・・
投資家は中東や選挙で何らかのショックが走ると予想しているのだ。
そうしたことが起こらなければ、私は『メルトアップ』という言葉は使わないが、市場が相当に強く上昇する可能性がある。・・・
市場の強気トレンドを邪魔するものはなくなるだろう。
メルトアップという言葉は市場の急騰、バブル的展開について用いられることの多い言葉だ。
シーゲル教授は、大統領・議会選挙について「株式市場はトランプを好んで」おり、同候補が口ほどには極端な政策をとらないと予想。
上院は共和党が過半数をとる見込みであることから、民主党の完全勝利は考えにくく、大きなショックはありそうにないとの見方を語った。
シーゲル教授は、経済が堅調で金利が下がらない場合、市場全体に恩恵が及ぶとする一方、バリュー株や小型株の相対的優位性は高まらないと解説した。