JP Morganのジェイミー・ダイモン氏、ブラックロックのラリー・フィンク氏が、それぞれトーンは違えど「慎重」なスタンスを示唆している。
資産価格は膨張気味だと思う。
どの尺度でも上位10-15%にある。
JP Morganのダイモン氏がCNBCで、米国株市場が過熱気味だと話した。
価格が高値にあるのはソブリン債などフィクストインカムでも同じだという。
同氏は、これが悪い結果とならないためにはファンダメンタルズの改善が必要だとし、新政権の政策への期待を述べた。
「これら価格を正当化するにはかなりよい業績が必要だ。
私たちはそれを望んでおり、成長志向の戦略がその実現を助ける。
でも、マイナス面もあり、それがサプライズをもたらすかもしれない。」
ダイモン氏の慎重スタンスは今に始まったことではない。
昨年も地政学的緊張や粘着的なインフレについて「慎重に悲観的」と述べていた。
12日のCBSインタビューでも、経済の現状について同じ言葉を用いたと伝えられている。
こうした慎重スタンスに対して、ブラックロックのフィンク氏はCNBCで「自分は慎重に楽観的だ」と前置きし、懸念事項を語っている。
「いくつかのことが新たなインフレ圧力を生むだろう。
おそらく市場はそれを織り込んでいない。」
フィンク氏は、債券市場が将来を指し示しているとし、メインシナリオではないとしつつもリスクの所在を語っている。
10年金利は5%超、おそらく5.5%になる可能性がある。
そうなれば株式市場にショックを与えるだろう。
フィンク氏は、当面の間FRBが利下げ方向を反転することはないだろうとし、メインシナリオも語っている。
「金利は粘着的で現水準にとどまり、・・・イールドカーブはより正常化しスティープ化していくだろう。
でも10年金利は現在のレンジにとどまるだろう。」
両人とも米金融界を代表する名経営者だ。
悲観と楽観とに分かれてはいるが、ニュアンスに違いはない。
(違いは単に表現の仕方だろう。)
米市場について警戒する人は多い。
しかし、往々にしてバブル的なものは、そうした人たちから比較的遠いところで起こるもの。
正しい意見と間違った現実が共存しうることも考慮しておくべきだろう。