ローレンス・サマーズ元財務長官が、経済・市場を動揺させるトランプ政権の政策の問題点を指摘し、今後のFRBの政策運営について心配した。
パウエル議長は、インフレが押し上げられ経済成長が押し下げられるショックがあったという事実に集中すべきだった。
これは悪い供給ショックであり、自ら招いた傷だ。
これが示すのは、米政策が間違った方向に向かっているということだ。
サマーズ氏がBloombergで、FOMC後のパウエル議長記者会見についてコメントする形で、トランプ政権の関税ほかの政策を批判した。
パウエル議長は経済・市場に動揺が走る中で、聴衆に安心感を与えるような話し方をした。
それが現在の問題の所在、すなわち政府の政策が動揺を生み出している状況への理解をあいまいにしてしまった面がある。
「私は、パウエル議長は『一過性』という言葉を封印したものと思っていた。
この言葉はおそらく彼の輝かしい7年半のFRB議長としての任期の中で最も評判が悪く、不適切に用いられた言葉だ。」
パンデミック後に米国でインフレ昂進の兆しが見えた頃、パウエル議長はその変化を「一過性」のものとみなし引き締めを行わなかった。
結果、インフレは昂進し、社会は混乱し、FRBもかつてないスピードでの利上げを行うことになった。
今回記者会見で議長が再びこの言葉を使ったことで、少々不吉な予感を感じた人は少なくないだろう。
サマーズ氏は、米経済が鈍化する中で、足下のインフレが「一過性」で終わる可能性があることを認識している。
しかし、インフレへの対処について経済鈍化に「頼ってほしくない」と語っている。
サマーズ氏はドットプロットにFRBのある種のジレンマが現れていると示唆している。
今年のFF金利予想では、メジアンでは前回(12月)から変わらず3.9%と予想されている。
しかし、上下3点を除いたレンジで見ると、前回の3.6–4.1%から今回3.9–4.4%へと上昇している。
これは利下げ1回を25 bpとして1回超、利下げ回数予想が減ったことを示唆している。
関税やインフレによって、経済の循環的弱さが増大したとの予想であるにもかかわらず、利下げできるとのFRBの自信の一部が失われたんだ。