モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのアンドルー・スリモン氏は、新たな小口投資家の参入によって強気相場が早く終わってしまいかねないと嘆いている。
私を最も恐れさせるもの、夜も眠れなくするものとは、陶酔感のある株式への小口投資家の熱狂だ。
FRBが(利下げの)いったん停止の意向を示すごとに、温度が下がる。
スリモン氏がBloombergで、プロの投資家の見る米市場の現状を語っている。
これがプロの共通した意見ではなかろうが、こうした見方があること自体が興味深い。
日本では、日本市場ほどではないものの米市場もまた足踏みをしているとの慎重な見方も多い。
しかし、実相では、サイクル終期につきものの新規投資家の参入・熱狂も見られるようだ。
スリモン氏は、サイクル終期の特徴に符合するものとして、IPOの増加にも言及している。
同氏は運用者として、サイクル終期の市場の上昇をなるべく長く楽しみたいと願っているようだ。
「陶酔感とは強気相場の終焉で見られる現象であり、市場はその楽観的局面をあまりにも早く通り過ぎようとしている。
だから、もしも少し鎮静化して、FRBがそんなに利下げしないと表明し、市場が他の部分を物色するのなら、その方がよい。
現在の強気相場の期間を引き延ばすという点で健全だ。」
何度もサイクルを経験したベテランらしい意見だ。
新規参入の投資家も同じく上昇を長く楽しみたいはずだが、彼らのおかれた状況は既存の投資家とは少し異なっている。
彼らは過去の上昇の恩恵を受けていない。
2022-23年に株を保有していて、2023年に悪いニュースを聞いても、おそらく売らない人が多かったろう。
しかし、過去6か月まったく新しい投資家たちが参入してきている。
彼らは強気相場の初期に投資しておらず、より高い確率でパニック・ボタンを押してしまうだろう。