元IMFチーフエコノミスト ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、ディールに関税を用いるトランプ政権にとって不都合なファクトを紹介している。
「トランプ政権には何人かとても優れた経済学者がいる、そう考えたいが、関税について悪く言うと追放されてしまう。
・・・ベッセント財務長官がその例で、とても分別があると感心しているが、彼にしても関税がよい考えと言わざるをえない。
もちろんそうじゃない。」
ロゴフ教授が印CNBCで、いつものように歯に衣着せぬ正論を吐いている。
センセーショナルな発言を誘導されても乗らず、ファクトに基づく見解のみを答えるのだが、そこに差しはさまれたトゲの数々が面白い。
「視聴者の皆さんが理解すべきなのは、関税を課して最も苦しむのが課税する側ということだ。
インドは従来からの関税政策により間違いなく苦しんでおり、利益を得ていない。
視聴者は、米国も関税政策で利益を得られないことをわかっているはずだ。
経済成長を害し、インフレを助長する一方、効果は大きくない。」
ロゴフ教授は、米政権の関税政策を批判すると同時に、長く保護主義を続けてきたインドの政策にもチクりとやっている。
教授は、米国が関税をディールのために使うことで、他国も同様の行動をとるようになることを心配している。
さらに、ロゴフ教授は、共著もあるギータ・ゴピナートIMF筆頭副専務理事(前チーフエコノミスト)の研究を紹介している。
米国が関税を課した場合、ほぼそのすべてが米消費者に転嫁される。
しかし、興味深いことに、他国が報復関税を課すと、おそらくおよそ半分だけがその国の消費者に転嫁される。
米輸出者が残りを負担している。
つまり、米国は関税戦争では勝てないのだ。