ジェレミー・シーゲル教授が長期で強気の見方を継続しているが、材料出尽くしの感も強く、興味深い。
歴史上、2年20%超のリターンが続き3年目もそうなったのは1999年の後に過度な割高になった2000年だけだ。
だから来年は一旦停止となるだろう。
シーゲル教授がCNBCで、米国株市場の好調がやや凪ぐとの見方を繰り返した。
2000年とはITバブルの年。
教授は、市場が再びバブルになることを危惧しているようだ。
市場では以前、1990年代後半との類似点を指摘する声が少なくなかった。
当時はFRBがインフレ抑制のために利上げしても景気後退に陥ることがなかった。
生産性が上昇したように見え、景気後退とならずにインフレが低下に向かい、FRBは利下げに転じることができた。
そこにIT革命というスパイスが加わり、バブルに発展した。
一方で、当時との違いを指摘する人も多い。
まず、企業業績とバリュエーション。
現在市場を牽引する銘柄には業績の裏付けがあり、バリュエーションもITバブルの頃よりはるかにリズナブルだ。
さらに、よくない方の相違点として、米財政の悪化が挙げられており、これが市場の重しとなる可能性がある。
シーゲル教授は、相場の格言を引いて、市場が極端(バブルのような展開)に振れることはないとの予想を述べている。
「市場を正しく表現している古い言葉として
『みんなが将来の市場で何か起こると予想している時には、それは起こらない』
というのがある。」
この格言は今月の相場にも当てはまるという。
30日のS&P 500は前年末比23.8%上昇の5,906.94で引けた。
11月末からは-2.08%と下を向いている。
アノマリー上は強い月であるはずの12月がマイナスで推移している。
シーゲル教授は今年のクリスマス・ラリーについて、事前に予想する向きが多かったと指摘。
多すぎる予想が市場を逆に動かし失望を生んだのではないかと話した。
教授はこの日もやや抑制的な予想を述べている。
- 来年調整(10%下落)が起こる確率が高まっている。
- 株価上昇の要因はすでに織り込み済み。
- PER 22倍と企業利益16-17%上昇は過去平均より高い。
シーゲル教授は、長期では強気であると強調し、売りを推奨していないものの、リスクが下方に多いとの見方を述べている。
教授は2025年が「試練」の時になるという。
この点は、従前からコメントしてきたファクター/セクターについても言えることだ。
シーゲル教授は市場の牽引役交代が起こりうると話す。
AI関連など現在の牽引役のナラティブはまだ強いが、AIが幅広い企業で成果を上げるスピードは市場の期待ほどには速くないかもしれないという。
そう言いつつも、教授は予想しずらそうに語る。
歴史が教えるのは、ナラティブは(思うより)はるかに長く続くということ。
最終的に否定されるまで、多くの失敗で打たれる必要がある。
今回の出演では特に格言の類に重きを置いていた。
単純な上昇予想をできる状況ではないのだろう。
より読みにくい、程度やタイミングが重要な段階になっているのかもしれない。