モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が、2025年の米国株市場と現金保有について話している。
「もっと幅広い銘柄での利益の上方修正が必要だ。・・・
私たちが他社よりさほど株価上昇に熱狂しなかった理由の1つは、幅が狭かったためだ。
私たちは、企業利益回復の要因がマグニフィセント7での大規模コスト削減だと見ていた。」
ウィルソン氏がBloombergで、過去数年コンセンサスより弱気だった要因を自ら分析した。
過去数年AI、政府のインフラ支援などの強気材料もあったと認めるものの、それらもまた銘柄の広がりの小さな材料だったと指摘した。
ウィルソン氏はどうやらこれまでの強気材料の持続性に疑問符をつけているようだ。
材料は材料だが、いつまでも続くとは見ていないのだろう。
その背景にはすでに「高い」株式バリュエーションもあろう。
「過去12か月、誰もPERが23倍まで買われるとは言っていなかった。・・・
企業利益が予想を上回るサプライズが必要だ。・・・
リターンの主たるドライバーは(利益でなく)株価バリュエーションだった。」
ウィルソン氏は、パンデミック以降の景気回復を「おそらくかつてない大きさの倍率拡大となる景気後退からの脱出だった」と表現した。
景気回復期、売上が回復し、それをはるかに上回るスピードで利益が回復するのが通例。
ハイスピードの利益回復が起こるから、逆にPERの拡大は大きくなりにくい。
その傾向が今回は当てはまらない。
こうした高値圏で始まる2025年の市場について、ウィルソン氏は、新たな政策が当初マイナスに働くとしつつ、年後半にはプラス面も出てくると予想した。
ウィルソン氏は、現局面でのキャッシュ保有の是非を尋ねられている。
ここで言う「キャッシュ」とは短期の債券等を含む現金等価物だ。
現在、米1年債利回りは4.1%を超える水準にある。
(つまり、足元のCPI前年比を超えている。)
「わずかなリスクで4-5%リターンを与えるキャッシュは資産の一部を配分するのにすばらしい対象だ。・・・
私たちは、2年以内のキャッシュレート部分におそらく5-7%を配分している。・・・
すべてのポートフォリオで(キャッシュを持つ)意味がある。
ウォーレン・バフェットに聞いてみるといい。」
バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは昨年、莫大な株式を売却し、史上最大のキャッシュ持ち高を積み上げている。
これが近い将来の市場下落予想に基づく動きではないかとの観測を生んでいる。