ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏の17-18日FOMC終了後の発言(CNBC出演の冒頭5分部分)。
数か月前と比べて、将来の(金融政策の)経路に関しはるかに混乱が増した。
でも、2年債利回りとFF金利の擦り合わせは完了した。
ガンドラック氏がCNBCで、FOMC後のパウエルFRB議長の会見についてコメントした。
これまではFRBのデュアル・マンデート(物価と雇用)の両方がよい状況にあるとされていたが、今回のドットプロットではインフレについて近時(2025年)には十分に下がらないとの見方が示されている。
結果、2025年の利下げ予想も(1回25 bpとして)4回から2回へと大幅に縮小された。
同氏はまた、雇用創出が失業率を安定させるには不十分との議長発言も引用している。
ガンドラック氏のコメントは、デュアル・マンデートの両側での変化が先行きの金融政策を以前より見通しにくくしているとの趣旨だ。
同氏は「現在FRBがいつになくデータ次第になっている」と話している。
ガンドラック氏の「擦り合わせ」についての指摘は、同氏の米金融政策への従前からの見方を示したものだ。
米2年債利回り(青)と実効FF金利(赤)
ガンドラック氏は従前から、米政策金利が米2年債利回りや18か月後の先物金利に追随しているに過ぎないとの観察を述べてきた。
半ばFRBの存在意義を問うような形で語られることもあったし、FF金利の予想法として語られることもあった。
(FPではこの現象を、資産効果の呪縛に囚われた米金融政策と捉えている。
FRBは明らかに市場の癇癪を大いに嫌っている。)
今回の利下げで、FF金利(レンジの中間)と2年債利回りがほぼ一致したことで、「擦り合わせ」が完了したのだ。
ガンドラック氏の考えからすれば、今後のFF金利の動向は、2年債利回りが教えてくれることになる。
いったん擦り合ったため、一時的に先読みが難しくなっているとも言えよう。
この面でも、「経路」予想の「混乱が増した」のかもしれない。
ガンドラック氏は、今回の米利下げサイクルの特異性を指摘する。
「1984年まで40年間FRB利下げサイクルを遡ると、今回は初回利下げ後に金利が低下せず上昇した最初の例となっている。 ・・・
この記者会見からわかるのは、2025年のメインシナリオが積極的利下げサイクルにはならないということだ。」
米10年債(緑)・2年債(青)利回りと実効FF金利(赤)
長めの金利は将来の短かめの金利をある程度先読みする。
長めの金利が下がらないことは短かめの金利もさして下がらないことを連想させる。
ガンドラック氏はリスク市場の反応を代弁する。
もちろん、リスク資産や高値の株式市場は(FRB)マンデートの両側において利下げが小幅になるとの考えを嫌っている。
18日の米市場は主要3指数とも下げて終えた。
S&P 500の終値は前日比-2.95%の5,872.16。