オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、トランプ関税にかかわる出来事について、米国にとって深刻な変化を引き起こしうると警告した。
これはおそらく私のキャリアの中で最大の環境変化だ。
米国は自由貿易・世界貿易・グローバル化から離れ、全面的に貿易に対し大きな制約のあるシステムへ移行し、米国は孤立の方向に踏み出した。
マークス氏がBloombergで、トランプ関税のもたらす変化の重大さを語った。
同氏は、グローバル化の重要性・恩恵を過小評価すべきでないと話す。
「とりわけ過去25年間・・・米国における耐久財のコストは物価調整後で40%も低下した。
それが米インフレに蓋をしてくれていたんだ。」
これが「すべてのアメリカ人」に対し安い買物を可能にしてくれたとマークス氏は話す。
このディスインフレ圧力がトランプ関税で消えてしまうかもしれない。
米国内で作ろうとすれば、高い買物を強いられることになる。
インフレは高止まりし、投資においてもその影響を受けるのは必然だ。
「世界経済、地政学や国際関係といった経済を超えた世界秩序は、この数日の出来事によってスノードーム(訳注:ひっくり返すと雪が降ったように見える置物)のように揺さぶられた。
誰もどうなるのかわからない。」
マークス氏は、まだ米国こそ最良の投資先だと考えているが、以前ほどではなくなったと嘆く。
法の支配、予見性、財政の面で悪化が見られるからだ。
中でも同氏は、米国の持つゴールドカード(基軸通貨のステータス)に陰りが出てくることを心配する。
マークス氏は、このカードには利用限度額がなく、請求書も来ないという。
「最近の出来事がそれを変えはしないか?
そのため、カードに限度額が付されてしまうのではないか?
そのため、いつか請求書が来るようになるのではないか?」
今回の関税についての米国の振る舞いが、カード会社(対米債権国)の態度を変化させないか心配しているのだ。
いずれかの変化が起これば、このゴールドカードは打ち出の小槌ではなくなってしまう。
中国はすでに行動を起こし、目下最大のカード会社である日本でも懸念の声は多い。
みんながドルを嫌い、対米投資を嫌い、際限のない米国債保有を嫌い、みんなが怒って
『米国は今も素晴らしい信用力だが、その債務は持ちたくない。
米国による私たちの扱いを見てみろ。』
と言い始めたら、米財政状態はとても複雑なものになる。
もちろんそうなれば、貸し手である日本も危うくなる。
日本が引けば米国債市場は瓦解するだろうが、それは日本にとっても大きな損失を意味することになる。
貸し込んだ金額が増えると、債権者の立場は弱くなるものだ。
その上、債権者は債務者を用心棒として雇い、完全に依存している。
日本は外需産業を振興し、せっせと対外債権を積み上げてきた。
その代償として今直面しているのは、対米債権または対米貿易黒字の少なからぬ部分が何らかの形で棒引きを迫られそうな状況なのである。