モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が、今年の米国株市場を占う上で想定しているいくつかの要因について明かしている。
最終の結論は読者自身が判断すべきだろうが、論拠を聞いておくとよいだろう。
米市場がインフレ再燃を恐れているようだ。
「もちろん(今年FRBが利上げする)可能性はある。・・・
現在の状況が続くなら、たとえば、原油(価格)には上方のリスクがある。」
ウィルソン氏はBloombergで、米インフレがまだ終わっていないと語った。
原油高になれば25 bpの利上げがありうるという。
今断言できるのは「400 bpの利上げ確率はゼロ」というぐらいのことだという。
4%利上げとは極端な設例に聞こえるかもしれないが、2022年ではそれが実現したのだ。
当時と比べて金利上昇の可能性は限定的であり、株式への逆風も強くないとの見方のようだ。
「金利の低下余地は大きくないが、金利が現在の水準にとどまるなら、幅広い株式で10%下落とはなりにくい。」
逆に言えば、金利が上昇するなら市場が調整しやすくなるということだろう。
ウィルソン氏は、株式市場に大きな影響を与える政策として関税、移民政策、税制を挙げた。
関税は企業(特にグロース)の利益を左右し、税制は金利に影響を及ぼすだろうという。
内容が定まらない年前半は不安定な相場になると予想。
数か月後に関税、年後半に税制の全貌が明らかになるだろうと述べ、もしも市場の許容範囲なら、年後半には市場環境が改善すると話した。
現状がまだサイクル終期であり、クォリティ株を推奨してきたウィルソン氏だが、その他の有望分野についても言及している。
- 金融株: 世界中。最も強気。規制緩和で合従連衡が増えればM&Aなどの分野でペントアップ需要が生じる。
- エネルギー・コモディティ・素材: AIにしろ何にしろ、これらなくしては始まらない。
ウィルソン氏は、そこに投資妙味があると考えている。
これら分野は市場から見過ごされ、過小評価されており、今年はかなり面白くなりそうだ。