ジェレミー・シーゲル教授が、米国株に強気のスタンスを維持しながら、米長期金利上昇が来年の株式市場の向かい風になると話している。
シーゲル教授がCNBCで「金利上昇への心配」を尋ねられて答えた:
「(金利上昇は)経済の強さ、トランプの政策を考えれば驚くことじゃない。
トランプの政策は金利にとってマイナスで、株式にとってプラスだろう。」
シーゲル教授は《心配無用》と言いたげだが、そもそもこの質問には背景がある。
共和党が大統領と上下両院を総取りすることでインフレと金利について上昇方向の予想が増えた。
にもかかわらず、株式市場はトランプ・ラリーで反応しようとした。
しかし、この数日、米国株がさえない。
そこで真っ先に疑われるのが、やはり金利上昇が株式市場の重しになるのではないかとの可能性だ。
シーゲル教授も米金利見通しが上方にシフトした点は認めている。
市場が予想する来年6月までのFRB利下げがあと25 bp×2回分になっている点を指摘し、予想幅が9月利下げ開始時から100 bp以上も縮小したと話している。
教授はそれが「市場に問題を引き起こしている」点は認めるが、そこは《永遠のブル》、株式市場について弱気を吐くことはない。
さらに楽観について突っ込まれると、シーゲル教授はもう少し慎重な見方を語っている。
- ロングランのFF金利を3.5-4.0%と推計。
- 実効FF金利は4.58%で。さらに利下げがある。
- タームプレミアムは通常時100-150 bp。
- その場合、10年債利回りは5%になる。
- 減税・関税次第でさらに高くなりうる。
そして、シーゲル教授はついに少々慎重なスタンスを述べる。
これは2025年、株式市場にとって向かい風になる。
しかし、それでも《永遠のブル》は《永遠のブル》だ。
減税の延長、規制緩和などプラス要因を挙げて、弱気を払拭している。
さらにシーゲル教授は、トランプ新大統領が株式市場を重視してきた点を挙げている。
当面の米国株市場については、いまだに強気予想がコンセンサスなのだろう。
しかし、同時に多くの人が中期的なインフレと金利の上昇の可能性を心配している。
シーゲル教授は過去、ピークアウトの直前(数週間前)にスタンスをひっくり返したことがある。
単一のインデックスを売り買いしているだけの人には十分な時間的余裕があったが、分散ポートフォリオを組んでいる人からすれば手遅れのタイミングだった。
(それがゆえに教授はしばらくヘイト・メールを送り付けられることになった。)
株価がすでにかなり高水準にあることもあり、これからは様々な人の意見をどう聞くかが重要になろう。
アメリカ人流に言うなら、《踊り続けなければいけないが、出口の近くで踊れ》といった具合だ。