ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、今後数四半期内での米景気後退入り確率を50-60%と見込み、手元現金を積み上げていることを明かしている。
今回はいつもとは異なる状況だ。
FRBが100 bpも利下げし、さらに2回利下げすると見られているのに、10年債価格が上昇でなく下落し、利下げ開始以降で株式も上昇しない。
ガンドラック氏がCNBCのインタビューで18-19日のFOMCの結果を振り返った。
同氏は、よく言われる《FRBに逆らうな》という言葉が今回成立していないと指摘し、今は「様子見すべき状況」と話した。
FRBが量的引き締めの縮小を発表したことも、1月あたり縮小幅が2日分の政府利払い費にすぎないことから、誤差の範囲とみなしている。
ガンドラック氏は次の利下げは次回5月ではなく6-7月になると予想した。
ガンドラック氏は米景気について従前どおりコンセンサスと比べかなり弱気だ。
景気後退入り確率はほとんどの人が信じるより高いだろう。・・・
(今後数四半期の確率で)50-60%と見ている。
その上で、投資においては待ちのスタンスなのだという。
「現在、本当に割安なものは何も存在しない。
よって、本当に割安になった時に買うために、手元資金を厚くしている。」
主戦場のフィクストインカムについては従前どおり
- 債券でのリスク低減の動きが加速しつつある。
- 質の高いポートフォリオの出番は始まったばかり。
- 30年債など長期側に魅力はなく、2-5年の短めの年限がよい。
との見通しを語った。
ガンドラック氏は、FRB利下げ開始後に米国株市場がアウトパフォームをやめ、欧州さらに新興国市場がアウトパフォームし始めていると指摘している。
同氏は、この交代が欧州等での軍事産業の再産業化の見通しによるもので、「トランプのレトリックの意図せざる結果」ではないかと主張した。
「トランプは、武器・防衛・協力について諸外国にどこまで米国に依存できるか考えさせた。
これにより、欧州に対するS&P 500比でのとても強気な見方は継続するだろう。・・・
今こそドルベースの投資家は、米国のみでない投資分散を始める時だろう。
これは長期的なトレンドになると考えている。」
ガンドラック氏は今月実施したウェブキャストで、米国の事実上のトリプル安を予想した。
米ドル、米長期債、米国株がいずれも(少なくとも相対的に)下落を続けることになるとの内容だった。