ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、トランプ関税の混乱が今後数週間から数か月継続すると予想し、S&P 500の底値めどを4,500と話している。
今起きているのはレバレッジの解消だ。
システムには大きなレバレッジがかかっていたようで、スプレッドが小さかった。
ガンドラック氏がCNBCで、債券市場においてレバレッジ解消が進んでいると指摘した。
ところが、ハイイールドなど低い格付けのものはまだ多くは売られておらず、今後売られるなら、ハイイールド・スプレッドの拡大が続くことになると心配している。
(ガンドラック氏は従前からリスクの高いものを避けるよう投資家に推奨してきた。)
リスクフリー金利の低下がスプレッド拡大を相殺してくれなくなり、既存投資家や発行体の負担が増すためだ。
なお、混乱の中で金が最高値から下落したことについても、ガンドラック氏はレバレッジ解消によるものと解説している。
ガンドラック氏は3月のFOMC直後の出演で、手元資金を厚くしていると話していた。
今回の顛末はまだ中盤だとして、その現預金はまだ使っていないという。
どこか破綻するところが出てくると見ている。
レバレッジをかけてリスク資産を買っていた投資家がいるなら、通常こうしたボラティリティの大きな環境では破綻するところがでてくるとの経験則である。
さらなる悪化を見込むから、まだ現預金は持っているべきとのメッセージだ。
ガンドラック氏は、経済のハード・データ(実績)にまだ大きな悪化が見られないことから、当面FRBは利下げを再開しないと見ている。
ソフト・データ(予想・心理)にはインフレ予想の急上昇が見られ、FRBは安易に利下げできないためだ。
ガンドラック氏は、米国は双子の赤字を抱えており、それを解消しようとしていると指摘。
財政再建を目指す中でリスク資産には逆風が吹き、同市場が「儲かる市場になるとは考えていない」と話した。
「ハイイールド・スプレッドは高かったし、CAPEレシオは高いため、まだ正常化までかなりある。・・・
ジャンク債と株式は似た動きをする傾向があるので、35倍のCAPEレシオから株式バリュエーションが正常化するのではないか。
私はS&P 500で4,500を予想している。」
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