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東京証券取引所アローズ 【輪郭】ちょっとバブルを心配した方がいいかも
2024年10月16日

本稿は15日付にてツイートしたものを編集・加筆したものです。(浜町SCI)
ありがちなことに、お爺さんが昔話を語っています。


なぜこれまで現状をバブルと思わなかったか。

バリュエーション

まず、現バリュエーションは私が経験したバブルとは異なる。
私は2つの株式バブルを経験した。
1980年代終わりのバブル(幸いまだ学生時代)と2000年にかけてのITバブル(投資銀行時代)の2つだ。
この2つのバブルでは、とにかく馬鹿らしいぐらい高いバリュエーションがついていた。
しかも、泡沫銘柄にまで高いバリュエーションがついていた。
今はそうは見えない。

もっとも、高いか安いかは企業の利益次第ということもありえる。
仮に企業の利益が何らかの影響で常態より膨らんでいるなら、見かけのPERが低く見えている可能性もある。
これは、日本人が一番よく知っていることだ。
外需依存の強い日本市場は、海外景気が悪化する度に悲惨なアーニング・リセッションを経験してきた。
深い景気後退期にはEPSがマイナスになることもままある。

日経平均のPER 16倍は(特に金利との対比で)高くないと言ったところで、弱気相場を占う上ではたいした意味はない。
(弱気相場がないと仮定して上値余地を見る上では意味がある。)
海外景気が急転して日本企業のEPSがゼロ近傍またはマイナスになれば、16倍が高くないとの議論は成り立たない。
つまり、日本市場とはバリュエーションで弱気相場を占えない市場なのだ。

では、米国株はどうなのか。
米企業の収益力はかなり安定している。
100年に1度の危機と言われたリーマン危機の時はさすがにEPSがゼロに向かって下げたが、ゼロを切ることはなかった。
金融緩和のおかげで数年後には危機前に戻っていた。
それ以外の弱気相場でも、市場のEPSは悪くて半分ぐらいまでしか低下しない。
だから、バリュエーションから弱気相場のリスクを占うのにも少しは意味があるかもしれない。

ここで宿題とすべきなのは、次の弱気相場で2つの下方リスクを見るべきかだ。

  • 米国株のアーニング・リセッションがリーマン危機後や日本株のように大きくなりうるのか?
  • 次の弱気相場では、名目株価の下落幅が小さく、実質株価の下落が大きくなる可能性があるのか?

後者は、インフレの10年(1970年代)に起こったニフティフィフティ低迷の再来をイメージするものだ。

(次ページ: 市場心理が泡を吹きだした?)


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