バブルの不都合な真実
バブルには1つとても厄介な性質がある。
優れた投資家はいち早くバブルを感知・察知できるかもしれない。
しかし、いち早く察知したからといって、すばやく相場から降りてしまうと往々にしていい結果にならない。
機関投資家なら、ライバルよりアンダーパフォームすることで顧客を失い、受託報酬、場合によっては職を失う。
自己勘定の投資家の場合でも、ある程度バブルに乗った方がリターンがよかった、などということが起こる。
バブルにまったく乗らないより、上昇局面で少しずつ利益確定する方がいい結果になりうるのだ。
ただし、バブルに途中まで付き合うのも簡単ではない。
どこが「途中」かの見極めが難しいからだ。
市場をアウトパフォームできる投資家とは、洗練された知識と観察力で市場を監視し、愚かな参加者の次の行動を予想し、適切に先回りできる投資家だろう。
知識と観察力は洗練されていても、やるべきことは、愚かなことを先回りすることにある。
洗練された頭脳は、洗練された行動を実践してはいけないのだ。
本格的なバブルはまだ先なんじゃないか、と考える人も多いだろう。
現時点で足元がバブルとは見えないからだ。
確かに明日焼かれることはないかもしれないが、来月、来年、再来年はどうだろう。
投資家が同じようなことを続けるなら、2-3年のタイミングの差なんて大した違いではない。
インフレ昂進でも起こらない限り株価はいつか深めの弱気相場を迎えるはずだ。
仮にインフレが昂進すれば、名目株価がさほど下がらないケースも起こりうる。
その場合、弱気相場でも株式等リスク資産のフィクストインカムに対する優位性が維持される場合がある。
世界がインフレに振れたことで、こうした可能性も無視できなくなった。
しかし、その場合でも、投資家が幸福になれるわけではあるまい。
インフレ昂進は名目株価には有利だが、極端な例で言えばトルコやジンバブエのようになるということ。
生活を危険にさらす高インフレが起こってしまっては、名目株価が仮に上昇しても幸福にはなれない。
深い弱気相場で日本株は半値以下になることがままある。
みんな上手に逃げられるだろうか。
いや、そもそも市場とは、全員は逃げられないようにできている。
自称「長期投資家」たちはそれを我慢しきれるだろうか。
そういう心理面まで考えると、ドルコスト法であってもスタートのタイミングは重要だと思う。
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