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東京証券取引所アローズ 【輪郭】ちょっとバブルを心配した方がいいかも

勝者は誰か?


本当の勝者は、すでに十分にリスク資産を積み上げている投資家だろう。
悩みぬいて決定した、自分にとって適切な資産構成をすでに実現している人だろう。
2012年に始めた人は、株式についてはすでに数倍に増価しているはず。
今後仮に6割下げてもまだロスにならない。
そういう人なら、大きな下げでも歯を食いしばって耐えることができるかもしれない。

いや、買い増すべきなのだろう。
リスク資産が大きく下げれば、自分にとって適切な資産構成の中にしめるリスク資産の構成比は下がる。
それを補うためにリスク資産を買い増すべきなのではないか。
それこそバランス型投資の教えるところだ。

(もちろんバランス型投資が正しいと決まったわけではない。
他の手法でもよいので、何か自分の規律を定めるべきなのだ。)

大きな下げが起こった場合、2番目の勝者はこれまで現金を抱えて買い時を逃していた人たちだろう。
この人たちは洗練されすぎていたために、洗練された行動を続け、結果的に投資時期を見逃してきた。
周囲から阿鼻叫喚が聞こえる中、洗練されすぎる人たちに挽回のチャンスが訪れる。

素直に喜んであげたいが、考えようによってはばつの悪い復活劇だ。
地獄の炎に焼かれている人たちから見れば、ハイエナのように見えてしまうだろう。

この人たちにアドバイスするとすれば、こっそりやること。
笑顔も歓声も押し隠し、粛々となすべき仕事を進めること。
そのためには、今のうちに狙いたい銘柄に旗を立てておくことが有効かもしれない。

今一番恐れていること

筆者が1990年代に目にした最も不愉快だったことは、人々が被害を被ったことではない。
資産価格急落で焼かれた投資家が、同時に加害者になってしまったことだ。
これにも2つの経路があった。

1. 氷河期

親が大金をすれば、子供にプラスとはならないだろう。
それだけでなく、経済や社会が委縮してしまう。
1990年代に社会人となった人たちは氷河期を経験している。

こういう時代を作った世代を非難する人は少なくない。
しかし、そう非難してきた人たちが、今度は加害者になるかもしれない。

天災は忘れたころにやってくる。
大バブル発生開始をプラザ合意とするなら、それから40年近くがたち、前回の記憶がある世代が引退しつつある。
焼かれた経験のある世代がこの世を卒業し、組織が忘れっぽくなり、残った人たちが意図せずして加害者に回ってしまうかもしれない。

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