ジェレミー・シーゲル教授が、強気スタンスを継続しつつ、米国株ピークアウトをまだ先と考える理由を話している。
すべてを総合すると、私はまだ株式が債券よりはるかによいと考えている。
しかし、債券が(株式と)競合し始める可能性がある。
そのため、短期的には実質金利その他をもとにポートフォリオ配分、クォンツを変える動きが増えるだろう。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、現状の米市場への見方を総括した。
シーゲル教授は、いつもながらの丁寧なファンダメンタルズ観察から、経済がまだ極めて良好であると考えている。
一方で、選挙結果にともない実現確率が上振れした関税と財政悪化によりインフレ・金利上昇も上振れしうると見ている。
それでも両方を総合すれば、まだ株式の方がはるかによいと考えている。
ただし、それは中期・長期の話で、短期的には動揺もありうると覚悟しているようだ。
シーゲル教授はポッドキャストで、リーマン危機後の2009年モハメド・エラリアン氏が提唱した《ニューノーマル》の考えを回想した。
危機により趨勢的な停滞が始まる結果、成長・インフレ・金利が低水準にとどまるとの見方だった。
当然ながら、その状況では潜在成長率と深い関係にある中立金利も低下していた。
(その後、エラリアン氏の当時の同僚ビル・グロス氏は2014年、やや持ち直した状態《ニューニュートラル》へ移行したと宣言。)
エラリアン氏は第1次トランプ政権開始後の2017年ニューノーマルは終わったと発言している。
プロ・ビジネスの政権が始まり、停滞と中央銀行の時代から、政治が経済を動かす時代へと変化したというものだった。
エラリアン氏は当時、時代の変化が良い方にも悪い方にも起こりうると考えていた。
その後、パンデミックが起こり、トランプ、バイデン両政権で異例の大規模財政出動があり、今に至っている。
シーゲル教授は最近、長期金利がさらに上昇するとの予想を繰り返し述べている。
教授が考える中立金利(≒長い目で見た実質FF金利)が3.5-4.0%に上昇したと考えているからだ。
これはまさに2009年発のニューノーマルが終わり、より高い成長の時代に移ったことを意味する。
だからこそシーゲル教授は、金利上昇を予想しても、株式に(長期で)強気のスタンスを継続しているのだ。
(次ページ: シーゲル教授がピークアウトを心配し始める水準)