アスワス・ダモダラン教授は、バリュー投資とともに語られてきたポートフォリオのケアとメンテについて矛盾を突く。
私たちがこう話すのは、バリュー投資の古い前提の1つに再び反対するためだ。
つまり、買ったら忘れてしまえ、だ。
なんでこんなナンセンスな話になるんだ?
もしも本当のバリュー投資家で、割安だから買うのなら、それには反対側、つまり割高で売ることもあるはずだ。
ウォーレン・バフェット氏が偉大な投資家であることはダモダラン教授を含め皆が認めるところ。
しかし、その発言・逸話はやや誇張・単純化されて理解されているところがある。
ダモダラン教授は、個別銘柄によるポートフォリオのケア・メンテが大仕事であると話す。
自分はそれを楽しめるが、子供たちはそうではないと語っている。
「個別銘柄の場合、毎年ポートフォリオのすべての企業の評価をする以外選択肢はない。
私のポートフォリオでは40銘柄超あるので、毎年40銘柄再評価している。」
ダモダラン教授のウェブサイトを見たことのある人ならご存じだろう。
教授の場合、割引率を計算するのに国別市場リスクプレミアムから計算している。
キャッシュフローも《鉛筆なめなめ》とはかけ離れた検証を行っている。
これを40社やるのは相当に骨が折れるはずだ。
インタビューの最後には、ダモダラン教授も敬愛していたチャーリー・マンガー氏(昨年逝去)から影響を受けたことを質問されている。
みんなに対するチャーリーの教えとは、何か常識に反することがあれば、誰が言ったことだろうが関係ないということ。
・・・彼は『疑え』と言った。
・・・今は本やブログで他の人たちについて読むことができる。
それが意味するのは、自分で考える時間が足りていないということ。
常識とは筋肉のようなもので、使わないと衰えてしまう。
なんと多くのプロの運用者が常識を使わず、常識を持ち合わせていないことか。
ダモダランのパラドックスが意味するのは《FPなんて読んでないで、自分で考えなさい》ということだ。
第1弾: バリュー投資の抱える致命的欠点:アスワス・ダモダラン