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ハワード・マークス ウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガーのファクトとの付き合い方:ハワード・マークス

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏がプライベートエクイティ(PE)業界の今後、データや情報との付き合い方について語っている。


金利低下は資産を保有している人たちにとってすばらしいことだ。
資産の価値とは将来キャッシュフローの割引現在価値であり、金利が低下すれば将来キャッシュフローを割り引く割引率が低下し、価値が上昇するからだ。
金利低下はまた借り手にとっても素晴らしい。
資本コストが低下するからだ。

マークス氏がMoney Maze Podcastで、金利低下が投資にとってどれほど大きな恩恵を与えてきたか説明した。

いわゆるボルカー・ショック以降、およそ40年にわたって米金利は趨勢的に低下してきた。
これが米国における投資にとって大きな助けになったとの指摘だ。
しかも、その恩恵はバランスシートの両側(資産と負債)で恩恵を与えてくれた。

ならば、借金して資産を買う人たちにとっては、二重の幸福となる。
これがPE業界で起こったことだ。

PE投資だけでなく、企業買収ではLBO(レバレッジ・バイアウト)が用いられることが多い。
借金をして企業を買う。
これで「二重の幸福」を得て、投資利回りを高める戦略だ。

マークス氏は、金利低下環境では借金をして資産を保有するのが「理想的な戦略」になると認めている。
ただし、多くのPEファンドについて、それが戦略だったのかどうかについては疑問を呈している。
むしろ、LBOをやっている間、たまたま金利が低下し続けたとの解釈だ。

PE業界の草分けKKRが設立されたのが1976年。
ボルカー・ショックを1981年と見るなら、PE業界がボルカー・ショック後に発展したとの見方は当たっている。
つまり、ごく一部の例外を除けば、ほぼすべてのPEファンドはほとんどの期間を金利低下の好環境の中で過ごしてきた。
さらに、そこで働くプロフェッショナルについて言うなら、現存するプロのほとんどは数年前まで趨勢的な金利上昇を知らずに生きてきた世代だ。
彼らが当然と思っていることが当然でなくなっている可能性は小さくない。

マークス氏は、過去順風満帆だったPE業界が今後も追い風を受けられるとは考えない方がよいと示唆している。

「アインシュタインは《狂気》を『異なる結果を求めて何度も同じことを繰り返すこと》と定義した。
私は《狂気》のもう1つの定義を《異なる環境で同じことをやって、同じ結果を予想すること》だと考えている。
・・・
(趨勢的な金利低下や超低金利に)もしも戻らない場合、安く買って価値を高めることができるファンドは依然としてよい結果を生むだろうが、金利低下と超低金利の恩恵はもはや存在せず、過去ほどの成功は得られないだろう。」

(次ページ: データと知識の違い。付き合い方)


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