ハワード・マークス氏は、投資におけるファクト(データや情報)との接し方について考えを述べている。
多くのファクトを集めたからといって成功が得られるものではないと話している。
「本当に重要なのは、データ・情報、知識・洞察の違いを理解することだ。
まず、すべてを知ることから成功が得られるのではないことを認めないといけない。
重要なのが何かを知ることから成功が得られるのだ。」
マークス氏は大昔、WSJの企業業績のページを読むことを日課にしていたそうだ。
しかし、ある時それをやめたのだという。
ただ数字を見ても時間の無駄であることに気づいたからだ。
市場予想がどうだったかも知らずに開示された数字を見ても「よいか悪いかわからない」。
些細なことを知ろうとするのをやめないといけない。
情報を得ていることがすべての事実を知っていることにはならない。
2025年3月 ハワード・マークス氏インタビュー
マークス氏は、交流を続けてきたウォーレン・バフェット氏、故チャーリー・マンガー氏の例を当たるべきと話している。
「特にチャーリー(・マンガー)・・・が言っていたのは
『知識とはたくさんのファクトを処理することではない』
ということ。」
マンガー氏についていえば、朝から晩まで大量の新聞・情報に目を通していたことで有名だ。
その人が、こうした言葉を残すのだから、信憑性はかなり高いのではないか。
同氏が時間を費やしていたのは、単にデータや情報に目を通すことだけではなかったのだろう。
マークス氏は、バフェット氏についても同様のメッセージを引き出している。
ウォーレン・バフェットをウォーレン・バフェットたらしめていること、バフェットの特異性、その中で重要な1つは、彼が数少ない重要なことを見出す点にある。
そして、すべてのファクトを知ろうとせずに、少数の重要なことを徹底的に研究する点だ。
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通常これら少数の最重要なこととは現在のデータではなく、企業の成功・不成功を決める力が何にあるのかなのだ。
マークス氏によれば、投資家は「百科事典」になっても成功は得られないという。