バークシャー・ハザウェイの2023年度年次報告書冒頭に、昨年11月28日に99歳で逝去されたチャーリー・マンガー副会長にあてた追悼文が掲載されている。
一人称は「I」であり、もちろんウォーレン・バフェット会長だ。
追悼文では、バフェット氏のバリュー投資をマンガー氏が進化させたエピソードを紹介している。
つぶれかけのバークシャーを買収して苦戦しているバフェット氏にマンガー氏(まだ株主でもなかった)がアドバイスをしたのだ。
『ウォーレン、次にまたバークシャーのような会社を買うのは忘れなさい。
でも、今やバークシャーの経営権をとったのだから、公正な価格ですばらしい会社を買い足すといい。
すばらしい価格で公正な会社を買うのは諦めなさい。
言い換えれば、あなたのヒーローであるベン・グレアムから学んだことはすべて忘れなさい。
それがうまくいくのは規模が小さい時だけだ。』
グレアム流のシケモク投資をやめ、すばらしい会社への投資という新たな道を示したのだ。
(このエピソードは、逝去時にCNBCでも強調されていた。)
その後この考えはバフェット氏の投資活動の中核を占め続けている。
追悼文でバフェット氏は、マンガー氏をバークシャーの「設計者」、自身を「ゼネコン」と呼んでいる。
近年バリュー投資の限界が多く語られているが、マンガー氏は同様の主旨を実に1965年に語っていたのである。
なお、バフェット氏による株主向け書簡の最後では、マンガー氏の考えを集めた『Poor Charlie’s Almanack』の新版(第4版)の発売が予告されている。
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