ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が広範な話題について語ったインタビューが会社から公表されている。
毎日の初め、すべての戦略の初めに、自分が常に正しいとは限らないことを肝に銘じること。・・・
正しくないかもしれないという事実を尊重すれば、考え方が変わる。
もしも間違っていたら、どうやってそれが致命的とならないようにできるのか。
ガンドラック氏が、自身のキャリアで学んだ最も重要な教訓を語った。
ガンドラック氏は、顧客の資金を預かり運用する機関投資家のあるべき姿を語った。
投資家以外との視点の違いを説明している。
例えば、ジャーナリストとの違いだ。
同氏が金利低下を予想し当たった時などに受ける質問に如実に表れているという。
「(ジャーナリスト)『あなたは正しかった。
でも、どうして30年債を保有しておかなかったの?』
これこそ破綻への道だ。
ジャーナリストがお金を運用したことがないことを示している。・・・
(投資家は)間違った場合にも生き残らなければいけないんだ。」
ジャーナリストの質問は、まさに結果論や生き残りバイアスに侵された傍観者のマインドだ。
ガンドラック氏の教訓とは、投資家は安易に成功を決めつけてはいけないということ。
失敗しても大丈夫なように行動し、備えろということだ。
その他、興味深いポイント:
- 景気後退: コンセンサスより確率は高いと考えているが、時期等については予見が難しい。景気後退となれば政府債務はさらに増え「醜い経験」となる。
- 米財政: 2028年までにリストラを実施しない場合、米社会保障制度は破綻するだろう。
- 米インフレ: パウエル議長の任期中に2%まで下がる確率は極めて低い。すでにFRBは2%目標を放棄している。
- 米金利: 趨勢的金利低下は終わった。
- ドル相場: 趨勢的金利低下が終わったため、景気後退でドル高でなくドル安となるだろう。
- 外国市場: インド、メキシコ、日本。
- 実物資産: 数か月前までは金がよかったが、今は土地。初めてセカンド・ハウス(約500ヘクタール、水・タンパク質・100%太陽光)を買った。
- ポートフォリオ配分:フィクストインカム35%、実物資産15%。インド・メキシコ・日本に10%ずつ。
- 米大統領選: トランプ勝利を予想。
このビデオで一番面白いのは最初の10分間。
ガンドラック氏が若い頃を回想している。
秀才・高学歴ではあってもお決まりのエリートではなく、米国らしいサクセス・ストーリーの一端がユーモラスに語られている。
最後に、ガンドラック氏が日本について推す理由を述べた部分を紹介しよう。
私が日本をちょっと好きな理由は、とても長く死んでいて上昇の余地が大きいからだ。
少なくとも愚かなマイナス金利からは脱した。
ある種のスイートスポットにある。
もちろん、債務対GDP比率は大問題だが、日本の金利が示すのは、米国が直面するリファイナンスの問題を日本が抱えていないことを示している。
為替をヘッジする、あるいは外国投資家が円建てで資金調達することが前提ならば、日本は「スイートスポット」なのだろう。
政府のリファイナンスの問題では、金利(≒債券価格)と為替がある種のトレードオフになっている。