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サイクル終期の株式有利の局面:ゴールドマン・サックス
2024年6月19日

ゴールドマン・サックスが、現状をサイクル終期の株式有利の局面だとし、60/40ポートフォリオを奨めている。


「堅実に利ザヤが拡大し、インフレはまだゆっくり低下し、利下げも見えてきた。
みんなが投資したいと思う環境に戻ってきた。」

ゴールドマンのクリスチャン・ミュラーグリスマン氏が自社ポッドキャストで、リスク資産有利の環境に回帰しつつあると指摘した。
これらマクロ環境に加え、AIなど技術革新が追い風になっているとした。

「もう少しリスクととってもよい理由は、何か悪いことが起こった時に債券市場がバッファーとなってくれるからだ。」

ミュラーグリスマン氏は、現状の株価バリュエーションについて極端ではないが高いと認めている。
一方、現在がサイクル終期だとし(同局面の特徴である)高バリュエーションを理由に「極端」(ultra)に弱気になる必要はないと話した。
さらに、今回のサイクル終期の特異性もまた同氏の強気スタンスを後押ししているようだ。
それは、民間セクターの健全な財務状況だ。

「今回のサイクルの最も異なっている点は、労働市場・利ザヤ・株式リスクプレミアムなど経済の一部はサイクル終期なのに、民間セクターの財務健全性はサイクル初期のような状態であることだ。」

ミュラーグリスマン氏は、民間セクターのレバレッジが通常のサイクル終期のように伸びきっていないため、急激な利上げ・金利上昇でも景気が急変しないと解説した。
一方で、顧客の多くが逆にスタグフレーション的シナリオを心配しているとも話している。
強弱の見方が存在する中、同氏はポートフォリオを1/3ずつに配分することを奨めている。

  • グロース株: イノベーションを取り込む。
    上昇の可能性はあるが、株価はすでにやや高い。
  • 債券
  • 実物資産: インフレ/スタグフレーション対策。
    うち20%を株式(これも実物資産)に配分してもよい。
    インフラ株、不動産株、コモディティ株などで価格決定力を有する会社。

ミュラーグリスマン氏は、実物資産の配分の多くを株式に配分すれば、伝統的な60/40ポートフォリオに近くなると指摘、これが投資家の多くの心配に対応できるとしている。
また、配分だけでなく、銘柄選びも重要になると付け加えた。

同社のアレクサンドラ・ウィルソンエリゾンド氏は、リスク資産有利の状況には賛同するものの、もう少し慎重なスタンスを滲ませている。
債券をポートフォリオのリスクに対するバッファーとする重要性を強調している。
イールドカーブについては、今後タームプレミアムの要求が強まると予想し、カーブがスティープ化するまで短期側に妙味があるとの見方を示した。

モデレーターを務めたアリソン・ネイサン氏による総括は:

「まだリスクオン。
大きなボラティリティが待っている。
コストの低いヘッジ手段を検討しろ。
ただし長期では60/40に固執しろ。」

複数のスピーカーから「迅速さ」(agile)との言葉も出た。
サイクル終期は概してリスク資産に有利だが、終期は終期なので注意を怠るなということのようだ。


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