ジェレミー・シーゲル教授が今年の米国株市場見通しを語ったビデオが19日付で公表されている。
その見通しと、教授が本当に伝えたいことを語った部分を紹介しよう。
少し抑え気味に8-10%を予想している。
シーゲル教授がThe Julia La Roche Showで今年の米国株市場を予想した。
2023年よりは低い上昇率を予想している。
しかも、シーゲル教授は予想数字の見方について注釈をつけている。
「米市場が2段式の市場だった点を忘れてはいけない。」
シーゲル教授は、米国株市場の二極化に言及している。
2022年はバリューがよくグロースが悪い年だった。
2023年は真逆だった。
「今年はバリューがグロースをアウトパフォームする年になろう。
2024年マグニフィセントセブンはS&P 500全般ほどよくないだろう。」
どんなに的中確率が悪くても、シーゲル教授が続けるバリュー復活予想だ。
ここにはある種の信仰のようなものがあるのだろう。
分が悪いことはシーゲル教授自身が自覚している。
「確実な予想ではない」、「これら大企業はとても特別で、除いては考えられない」と本音を吐露している。
それでもマグニフィセントセブンに(相対的に)弱気なのは、PERに高い成長期待が織り込まれており、競合も激しいためだ。
一方、バリュー株は低PERで、景気後退入りがない限り下方リスクが少ないという。
シーゲル教授はインタビューの最後に、積極的に続けてきた情報・意見の発信の目的を述べている。
株式は短期ではもっともボラティリティの高い資産クラスだ。
上がったり下がったり、弱気相場だったり強気相場だったりのドラマがある。
しかし、長期では最も安定的な資産クラスだ。
実質リターンは2世紀超にわたって年5-6%の間を維持してきた。
他の資産クラスで株式市場ほど長期リターンが安定しているものはない。
だから、特に若い視聴者・聴視者は下降気流に恐れないで、弱気相場に恐れないでほしい。
株式市場にとどまれば、必ず市場が下げた時、買いを減らすのではなく増やすチャンスがやってくる。
シーゲル教授のメッセージはまったく正しい。
皮肉なのは、教授の話を聞く側が必ずしもその意を酌んでいない点だ。
多くのファンがマーケット・タイミングのためにシーゲル教授の発言を聞いている。
彼らは近いうちに試されるかもしれない。
景気後退や弱気相場が来た時に買い増す人がシーゲル門徒。
そうでない人は、必ずしも正しい情報の解釈をしていないマーケット・タイマーということになるのではないか。