書簡では、大統領選が終わり新大統領が就任したことで選挙にかかわる不確実性がなくなったと指摘している。
しかし、不確実性はむしろ増しているという。
大統領の行動は予想がつかず、過去の言動も参考にならないためだ。
現状での予想では、生産性と経済成長を支持するだろうが、インフレや財政赤字の改善は難しいという。
ウクライナでの戦争は近く終結するだろうという。
第1次政権より今回の政権の方がうまく機能するだろうという。
ただし、うまく機能することがよいことかどうかは、考え方によるだろうとも付け加えている。
書簡では、暗号資産にかかわる熱狂を取り上げている。
年末に開始し時価総額10億ドルに達したFartcoin、トラベラーズやジョンソンコントロールズと時価総額(550億ドル規模)で並ぶDogecoinなどだ。
(fartは放屁の意、dogeはdogのスペルミスから来たミーム。)
さらには仮想通貨TRUMP、MELANIA、・・・
さらに、ビットコインを外貨準備に加えようとする政権・議会の動きについて揶揄している。
「この法案の目的は、公金を用いてビットコイン価格を上昇させることで既存のビットコイン保有者の富を増やすことにあるようだ。
納税者のお金の使い道として不審なものと思えるが、新政権にはビットコイン保有の支持者が多いので実現するかもしれない。
よりありそうな結末は、政府が債券市場からさらに数兆ドルを借りてビットコインで投機すべきではない、実際そうすることに何ら戦略性もない、と冷静に判断することだろう。」
グリーンライトは、民間での動きにも警戒している。
ビットコインの大口保有者であるマイクロストラテジー(NASDAQ:MSTR)について言及している。
この会社は「小さなソフトウェア事業」を営んでいるが、「主たる目的はビットコインを買うこと」にあり、事実上ビットコインの「投資会社」だという。
そして、保有するビットコインを反映した株価よりはるかに高い株価が付いているという。
グリーンライトによれば、高い株価で安く資金調達しビットコインを買うことでリターンが上がるという「アイデア」だという。
なにやらバブルの度に表れるビジネス・モデルのようにも聞こえてくる。
書簡ではMSTRの構造を次のように解説している。
MSTRによるビットコイン購入費用がMSTR株のビットコイン込みの価値より低いため、新たな投資は新たな投資家にとっては希薄化となる。
しかし、既存投資家にとっては増価となる。
MSTRの推進者は、このスキームによる既存投資家へのリターンを『ビットコイン利回り』と呼んでいる。
ビットコイン自体は利益を生まないものだから、ビットコイン利回りとは単純にポンジ・ファイナンスの効率の尺度だ。
最近はこの効率がかなり高くなっている。
なるほど少々胡散臭いが、この会社はどうやらビットコイン現物を持っているようだから、エコノミクスはわかりやすい。
しかし、話はこれだけで終わらない。
話題はMSTRに2倍のレバレッジをかけたETFであるMSTU、MSTXに及ぶ。
グリーンライトは、これらETFがMSTR x2を実現するのが極めて難しいと読む。
トラッキング・エラーやスワップやコールオプションのコストのためだという。
そこでついに、グリーンライトがこの話題をつらつらと書いた理由が明かされた。
「MSTR株が上がった時に買い下がった時に売るコストと天文学的な資金調達コストを合わせて考えると、MSTUやMSTXがMSTRの日次リターンの2倍を実現する現実的確率は存在しない。
これら商品は失敗するように設計されている。
時間とともに、これらは資本の血を流出させるだろう。
第4四半期、当ファンドは、これらETFをショートし、一部をMSTRの買いでオフセットすることで裁定ポジションを構築した。
このポジションは当四半期の重要な勝ちの1つだった。」