シーゲル教授は米国株市場について「弱気相場入りは確実ではないが、可能性は高まった」と話した。
その一方で「株式の歴史は常に過剰反応の連続」とも話し、長期投資家に対し過剰反応しないよう説いている。
教授はいつものようにPERから株式の期待リターンを予想し、債券利回りと比較している。
- PER 20倍は益回り5%、今後の株式の実質期待リターンを5%と予想。
- 名目債との比較:
- 今後のインフレを3%とすると株式は8%の名目期待リターン。
- 長期金利は低下し4%を割り込み3.8%。
- 「株式リスクプレミアムは拡大し、現在良好な水準にある。」
- 物価連動債との比較:
- 10年物価連動債利回りは1.7%。
- 株式の実質期待リターンが5%なら株式リスクプレミアムは3.3%。
- 過去平均は3.5%だから、そんなに悪くない。
この説明では、トランプ関税によるEPS低下要因を見ていない点で、やや株式に甘くなっている。
教授はこの議論の前に何度も「利益の2年分」と口にしている。
PERが2ポイント下がったことを指しているが、逆に2年ぐらいすれば関税は引っ込められるかもしれないからあまり心配するなと言いたいのだろう。
2年で済むならば、すでに織り込み済みと言いたいのだ。
(名目債と実質債で株式リスクプレミアムが異なるのは、予想インフレの違いのため。
シーゲル教授が置いたインフレ3%は、債券市場の織り込むブレークイーブン・インフレ率2.1%より大きくなっている。
債券市場は、景気の悪化により期待インフレを低下させているのだろう。)
シーゲル教授の総括は
長期投資家にとっては現在の市場は有利であり、安くなっている。
(年)2桁リターンを望めるわけではなく、関税に大幅な軽減がない限り、当面ほとんどアップサイドは期待できない。
債券はヘッジになる。
ただし、後述のとおり、シーゲル教授は債券にはかなり後ろ向きだ。
後回しにされると予想しているインフレの問題を心配しているため。
対して、「株式は実物資産であり、完璧なインフレヘッジになる」と述べている。
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