ローレンス・サマーズ元財務長官が好調な9月の雇用統計を受けて、FRBはインフレ・リスクにも対処すべきと注文をつけた。
今日の雇用統計は、中立金利が高い環境にあり、責任ある金融政策は利下げに慎重であるべきとの考えを裏付けた。
サマーズ氏が9月の雇用統計についてツイートした。
同氏の見立てどおり中立金利が高いなら、FRBの利下げ余地は小さいことになり、市場の利下げ織り込みは過大ということになる。
4日、米債利回りは低下し、米国株は上昇した。
Today’s employment report confirms suspicions that we are in a high neutral rate environment where responsible monetary policy requires caution in rate cutting. With the benefit of hindsight, the 50 basis point cut in September was a mistake, though not one of great consequence.…
— Lawrence H. Summers (@LHSummers) October 4, 2024
4日発表の9月の雇用統計は
- 非農業部門就業者数前月比: 254千人(市場予想140-150千人)
- 失業率: 4.1%(前月比-0.1%ポイント、市場予想4.2%)
- 平均時給: 前年同月比+4.0%、前月比+0.4%
となった。
サマーズ氏は続ける。
「今となっては9月の50 bpの利下げは誤りだった。
ただし、大したことではない。」
1回のFOMC利下げが50 bpか25 bpかで致命的な違いが生じるものではあるまい。
問題は、予想を大きく超えたものの、ただ1点のデータが今後の政策にどう反映されるかだろう。
このデータにより、FRBは『ハードランディング』とともに『ノーランディング』のリスクに対処しなければならなくなった。
名目賃金上昇は依然としてパンデミック前の水準より高く、減速は見られない。
FRBは9月に利下げサイクルを50 bpで始めるという異例の措置を選択した。
主たる課題が、落ち着きつつあるように見えるインフレではなく、経済、特に雇用であるとの認識を示した。
今回の雇用統計はノーランディングによるインフレ圧力がいまだにリスクとして存在することを暗示している。