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バフェットは最高のマーケットタイマー:デービッド・アインホーン

デービッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルが第3四半期の投資家向け書簡で、信念をもって待ち続ける覚悟を表明している。


「グリーンライト・キャピタルのファンド(以下「パートナーシップ」)は2024年第3四半期、手数料・費用差引後で1.1%のリターンを上げた。
同期間のS&P 500のリターンは5.9%だった。」

グリーンライトが、第3四半期も市場をアンダーパフォームしたと報告している。
エクスポージャーの平均はロング97%、ショート64%。
市場が上昇を続ける中でも保守的にネット・ロングを小さく抑えたことが、横這いとアンダーパフォームの原因だ。

「多くの指標で見て、現在はグリーンライト創業(訳注:1996年)で最も割高な株式市場だ。」

米市場はまだ上昇を続けている。
そこでネット・ロングを小さくするとは、下げ相場を予想したものだろう。
保守的なポジションでつらいのは、実際に市場がピークを打つまで市場をアンダーパフォームする時期が続くこと。
それでもアインホーン氏は、大きめのマーケット・タイミングを仕掛け続けているようだ。

いつもウォーレン・バフェット氏はマーケット・タイミングは不可能だと話すが、私たちは、彼こそ史上最良のマーケット・タイマーの1人と見ざるをえない。
・・・
だから、バフェット氏が再びその株式ポートフォリオのかなりの部分を売却し、莫大な手元現金を積み上げたことは注目に値する。

書簡では、バフェット氏が

  • 1960年代終わりのニフティフィフティによる株高の時期にファンドをクローズし、1970年代前半の底値で復帰した
  • 1987年ブラックマンデー前に大部分を売却した
  • その後も危機を回避し、余力たっぷりで2008年リーマン危機を迎えた

ことを紹介している。
書簡では、バフェット氏の優れた長期投資の成績は弱気相場を回避したところが大きいと指摘している。

最近、バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは、Apple株BofA株を大きく売却している。
もちろん、ポートフォリオの過度な集中を解消するとの意図も大きいが、グリーンライトはこれを次の下げに備えた行動と見ているのだ。
つまり、バフェット氏も下げに賭けているから、自分たちも苦しくても頑張る、と言いたいのだろう。
そう、問題は上げか下げかだけでなく、いつそれが起こるかだ。

私たちが感じるのは、バフェット氏のポートフォリオ調整は、市場が来週、来月、来四半期下落するといった予想を示すものではないだろうというものだ。
むしろ、バフェット氏の売りが示すのは長期的な見方であり、現在は株式エクスポージャーを大きくする好機ではなく、そう遠くない将来のいつかに多くのチャンスが到来すると予想しているということだろう。
現在の市場をバブルと呼ぶことは避け、単なる観察にとどめよう:
配当利回りは低く、企業利益は循環的高位、もしかしたらピークなのにPERは上昇している。

いつかはわからない。
しかし、いつか下げがあると思うなら、今から準備をすべきなのだろう。
いつか景気が下向き、アーニング・リセッションとなるなら、バリュエーションはいっそう割高になる。
今は産みの苦しみなのだ。

書簡はいつものとおり、ウィットの効いた言葉の引用で終わっている。
今期は女優ソフィア・ブッシュ氏の言葉:「あなたは最高傑作であると同時に未完成品であってもかまわない。」
今はまだ花開いていなくても、そのグズなポジションこそ人生最高のポジションになるかもしれないのだ。


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