インターネット・バブル、日本のバブルは極めて高いバリュエーションまで上がったから下りもきつかった。
今のバリュエーションはさほど高くないからそうはならない。
これがシーゲル教授の主張だろう。
これに対し、キャスターを務めるウィズダムツリーのジェレミー・シュワルツ氏が異なる角度の質問を投げかけた。
テックの強気派はまだ1995年と言っているとの投げかけだ。
今が1997-98年なら、あと3年ぐらいバブルが続き、そして弾ける。
今が1995年なら、あと5年以上バブルが続き、そして弾ける。
米投資家の貪欲は底なしだ。
シーゲル教授の答えは振り子のように揺れた。
「まだこれ(上昇)ははるかに長く続く可能性がある。
もしも賭けるなら、続く方に賭ける。」
米市場は上昇する期間の方が圧倒的に長いのだから、当然の回答だろう。
「最終的には急落することになる。
梯子で昇ってエレベーターで降りるだ。
経済学者がマルチンゲール型の確率と呼ぶものだ。
(上昇)トレンドが50%をはるかに超えて続く場合、それが止まる時に痛みが大きくなる。
誰もいつ飛び降りればよいかわからない。」
「マルチンゲール型の確率」では、過去の事象から計算した期待値と未来の期待値が同一になる。
フェアな賭け事が一例だ。
長い期間にわたり勝ち、短い期間負ける場合、下りがきつくなる。
こうした知性を備えた上で《永遠のブル》はバリュエーションを根拠に強気を続けている。
そうではあるが、これら株式に熱狂が起こる時、現在のバリュエーションは熱狂が今より株価を押し上げるのを妨げる水準ではない。
今回の市場サイクルが終期の兆候(FRB利上げ等)を見せる前、シーゲル教授の予想は単純な強気だった。
利上げが終わったように考えられている今、シーゲル教授の予想は単純な強気予想ではなくなっている。
強気であることより、それがいつまで続くのかに重点が移っている。
市場の上げが思ったより速いこと、それにともない不安感を感じる人が増えたことなども背景にあろう。
世間の議論で1つ気になるのは、日米ともにバブルという極論が吹聴されている点だ。
バリュエーションを見る限り、いずれの市場もバブルと呼ぶほどの水準ではない。
(もしもあるとすれば、債券がバブルなのかもしれない。
日本はもちろん、米国の長期金利4%+は十分に高いと言えるだろうか。)
忘れてはいけないのは、バブルでなくても弱気相場はいつでも起こりうるということだろう。
特に米国について強気予想自体にはそれほどの価値はない。
(根拠なくずっと強気予想するだけでも高い的中率を実現できる。)
本当に価値があるのは、いつ下げるかを予想することだ。
しかし、当代屈指の学者をしても、その答えは「わからない」なのだ。