この数年FRBを厳しく批判してきたジェレミー・シーゲル教授だが、今回のFOMCと雇用統計にかかわる不運・間の悪さには同情を示している。
「今週末いっぱい、たくさん電話がかかっているはずだ。
『なんで水曜日に利下げしなかったんだ。 。・”(>0<)”・。
何を待っているんだ。 ヽ(≧Д≦)ノ』
そういう電話が聞こえてくるようだ。」(注:絵文字はFPの想像)
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、FRBの間の悪さにやや同情した。
水曜日のFOMCは予想どおりだった。
今回は利下げシグナルを出し、ジャクソンホールで地ならしをして、9月17-18日のFOMCで25 bpの利下げを実施する。
市場コンセンサスどおりのことをFRBは実行した。
しかし、金曜日の雇用統計が悪すぎた。
シーゲル教授は、失業率と景気後退確率の間の経験則サーム・ルールの条件が満たされた点に言及した。
「私は景気後退確率が90%だとは思わないが、ある程度の(景気)鈍化は避けがたいだろう。」
その上で、9月FOMCでの利下げ幅が従前予想より大きくなる可能性を指摘した。
「9月利下げは2回分(50 bp)になるのではないか。
今後9月までに緊急利下げが必要とならないことを祈りたい。」
シーゲル教授は、まだ米経済が9月に50 bp利下げを必要とするほどには悪くないと考えている。
一方、「データが安定するのを祈りたい」とも口にしている。
現状のFF金利は5.3%超。
FRBがドットプロットで示唆する中立金利2.80%よりはるかに高い。
シーゲル教授は、中立金利をFRBより高く見ているが、それでも利下げ余地は小さくない。
米経済成長については足元で2%台を予想する向きも多く、シーゲル教授は景気後退には程遠いと考えている。
しかし、教授の話し方はもはや《ブル》ではない。
《横這い少し上向き》という言葉の方が適切だろう。
このところ可能性を指摘していたバリュー株復活についても、トーンは大きく後退した。
「(景気)鈍化では、バリュー株はグロース株より循環的になる。
つまり、ある意味バリュー株はより大きな打撃を受ける。」
ただし、バリュー株の中にはチャンスも残っているという。
よいニュースは、高配当のバリュー株は比較的持ちこたえる傾向にある。
FRB利下げによる利回り低下が予想され、(利回りが低下すると)債券が選ばれなくなるためだ。・・・
高配当バリュー株は市場よりよくなると考えている。
下がらないと言うのではない。
高配当バリュー株であっても下がらないとは言えないとし、高配当バリュー株は市場全体よりいいという。
つまり、市場全体について楽観していないのだ。
より本質的な要因と考える企業の利益についても、マチマチとしつつ、一部で弱い業績開示が見られるのを心配した。
それでも《永遠のブル》は力を振り絞り前向きなコメントを続けている。
プルバック(5-10%下落)となるだろうが、調整(10-20%下落)となるかは今後のデータ次第だ。
最終的に危機になるかといえばNoだ。・・・
(上半期の出来すぎから)現実に戻った。
常軌を逸し悲惨な弱気相場・クラッシュとなった2000年のようなバブルにならなくて喜んでいる。
(当ポッドキャストは金曜日12-13時の放送(つまり市場終了前)。
S&P 500の終値ベースの最高値は7月16日の5,667.20。
2日終値の5,346.56はすでに5.6%下げており、すでにプルバック圏。
下限の10%下落は5,100となる。)