ジェレミー・シーゲル教授が米景気・市場の鈍化を指摘し、その原因のすべてが関税政策にあると主張している。
今四半期に大きな鈍化が起こっているのは間違いない。
・・・出てくる実績のデータのほぼすべてが予想を下回っている。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、足元の米経済の鈍化を指摘した。
理由は間違いなく関税にかかわる不確実性だ。
シーゲル教授は、目下の景気減速が関税政策によるものと断じている。
ショッキングな米ウクライナ会談については(欧州市場には影響するが)米市場にはすぐには波及しないと説明。
米市場の足踏みを「100%関税によるもの」と話している。
トランプ大統領は1日、延期していたカナダとメキシコからの輸入品への関税を4日から実施するとの大統領令に署名した。
また、中国に対してはさらに10%の追加関税を課すという。
中国に対してはこれまでも10%以上の関税を課していたから、実施後は20%以上となる。
対カナダ・メキシコは25%なので、一部品目では対中国の方が低くなる場合もあり、少々奇妙なバランスにも見える。
シーゲル教授は、最近10日ほどで米10年債利回りが25 bpほど低下した点を挙げ、債券市場がすでに景気鈍化を嗅ぎつけていると指摘した。
株式市場については、マグニフィセント7が大きく売られていること、弱気指標が増えていることを指摘した。
ファクター/セクターのローテーションが始まったと見る人が増えているが、教授によればまだ確かではないという。
一貫してバリュー株を推してきたシーゲル教授だが、この局面でのバリュー株については過度に期待すべきでないと話す。
経済の鈍化は、バリュー株を含むすべての株式にとって逆風になるからだ。
さらに、鈍化で済まず景気後退となれば、注意が必要だという。
「金利低下は明らかに高配当株によってよいことで、そうなれば間違いなくより優位になる。
だから、ローテーションがあっても驚きはしない。
しかし、通常景気後退の領域に入る場合、そうした銘柄は少し大きな悪影響を受ける。」
シーゲル教授は、足元の変化が景気鈍化であって景気後退ではないと見ている。
その一方で「景気後退なのか?」と自問をしている。
原因が人為的、意志の問題であるがゆえに不確実性が残るのだ。
「トランプ大統領は来週初めにも発言するだろう。
これ(景気後退)が、1期目と同様フェイントなのかどうかはわからない。
不確実性が市場の重しになっており、それを大統領が来週いくらか取り払ってくれることを願っている。」