ジェレミー・シーゲル教授のトーンが再び強気を取り戻している。
長期金利上昇への警戒は続けながらも、米国株やその牽引役の上昇トレンドは継続しているという。
「今週はいいニュースが多かった。
2つのインフレ指標が予想を下回り、経済データは引き続き強い。」
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで今週を振り返った。
エネルギーを除けばインフレも落ち着いており、経済がこのままなら3月のFOMCも現状維持になるだろうと予想している。
ただし、教授は10年債利回り予想については5.0-5.5%への上昇と据え置いている。
大統領就任式は20日と迫っているものの、次期大統領の行動は予想しにくい。
シーゲル教授も、あまり政策に山を張ろうとはしていない。
そんな中で、笑いながらビットコインに言及したのが印象的だった。
次期大統領がビットコインを準備通貨に加える可能性を示唆したことに対するコメントだ。
「どこから(買う)お金が出てくるのか聞かないといけない。
本当にそれを進めたいなら、1か所資金を捻出しうるのは金の一部を売ってビットコインを買うこと。」
巷では、没収したビットコインを外貨準備にという話まで出ているようだが、それではビットコインの価格上昇圧力にはならない。
どこからか新たなお金を持ってきてビットコインを買わないと押し上げ圧力にはならない。
しかし、連邦政府は財政悪化に苦しんでいる。
そこで、仮に実現するなら金準備の一部が取り崩されるとの見立てだ。
「実現するなら、数か月のうちだろうが、最近好調だった金に下押し圧力がかかるだろう。」
どこまで本気かはシーゲル教授の笑いをどう受け取るかによるが、金が下げビットコインが上がる可能性を語っている。
仮に米国が外貨準備の一部を金からビットコインに振り替えるとした時、ドルの信認はどう変化するだろうか。
金をたくさん持っている米国のドルか、金からビットコインに振り替える米国のドルか。
金も幻想によって高い価格がついている資産だが、幻想の度合いには差もあろう。
1つ言えるのは、ドルがどんどんペーパーマネーになっていくということだろう。
シーゲル教授は米国株市場について、さしたる変化はないと話す。
「グロースvsバリューについてはまったく変化がない。・・・
いろんな話やナラティブも関係なく、大手テック株の優位はまったく揺らいでいない。・・・
今年これまで(上昇)銘柄はまったく広がっていない。」
「状況は過去2か月と同じままで、株式に崩れる様子は見えない。
(長期)金利上昇を予想するので、依然として今年調整が入ると予想するが、トランプの政策への熱狂はまだ数か月続くだろう。」
また、シーゲル教授は質問に答える形で高いCAPEレシオについて2点指摘している。
- 10年CAPEは10年間の予想指標だが、過去10年大きく外してきた。*
- 実質金利が再び2.2-2.1%まで下げてきたが、倍率はITバブル期とは程遠い。
* 発案者の1人ロバート・シラー教授は、CAPEを予想指標とは位置付けていない。