投資

フェイク騒動で垣間見えたラグラム・ラジャン教授の投資術

IMFチーフエコノミスト、インド中銀総裁を歴任したラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、教授をかたるフェイク・ビデオ拡散を警告し、投資についての考えを少し述べている。


「投資、特に個別株についてアドバイスするという私のビデオが様々なSNSにアップされているのは承知している。
これらは偽であり、犯人は関係当局に通報されるべきだ。
私は公衆に投資アドバイスを提供しないし、個別株を勧誘したことはない。」

ラジャン教授が自身のSNSで注意を促している。
教授をかたる投資勧誘のフェイク・ビデオが拡散されているらしい。

こんなに高名な経済学者まで偽物が出てくるのか。
あるいは高名だから偽物が出てくるのか。
金融論の学者ゆえに、少々違和感も感じられる。
教授は「私が特定の投資を勧誘するビデオはすべて無視してほしい」と呼び掛けている。

ジム・チャノス氏によると、市場に泡が立ち始めると投資詐欺が増加するという。
市場が峠を越し泡が弾けるにつれ、ラグをともない発覚・告発が増えるという。
現状、泡が立っているのかどうかは意見が分かれようが、1つ言えるのはまだ峠を越したように見えないということ。
今はまだ発覚・告発が増える局面には至っていないのだろう。

金融論の第一人者による個別銘柄勧誘という話にはやはり違和感がある。
人は欲にかられると、稚拙なウソでも信じてしまうのか。
ウソのディテールを気にしないような偽物まで出てきているということが、投資詐欺の裾野拡大を示すものでないと祈りたい。

さて、ラジャン教授が言う通り、教授が投資推奨を語るのを見たことがない。
よほどしつこく誘導尋問でもされない限り、話すことはなかろう。
まともなメディアは、そんなにしつこい誘導尋問はしない。
ところが、今回、ラジャン教授自らが投資に対する考えを吐露しているのだ。

投資家はそれぞれ自身の財務ニーズとリスク選好を持っている。
さらに、投資家は通常、個別の株式やストックオプションを買うより、分散された銀行預金、債券、(ミューチュアルファンドやETFを通して保有する)株式のポートフォリオを保有する方がうまくいく。
飛び抜けて幸運な人が大当たりして金持ちになることもあるかもしれないが、後者の戦略を採ればはるかに貧乏になる可能性が高い。

シカゴ大学ビジネススクール教授らしい正統的な考えだが、ラジャン教授に言われると改めて説得力を感じる人もいるのではないか。
オルタナティブなどへの言及もなく、退屈かもしれないが、とても正統的なアドバイスだ。


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