PIMCOのエリン・ブラウン氏らが、マルチアセット・アロケーションについての最近の動向を解説している。
「2023年初めからの資産配分の主要テーマが債券の復活だったとするなら、今日の新たなテーマは相関だ:
特に、インフレと経済成長が緩慢になるにしたがい、株式と債券の間の負の相関が復活している。
これは、マルチアセットの投資家にとって朗報だ。」
ブラウン氏らが自社ウェブサイトで、株式・債券間の負の相関の重要性について説いている。
もちろん、相関が負になれば、両資産クラスでの分散効果が大きくなる。
分散が効けばリスク低減に寄与し、(特にリスク総量にキャップを設けている投資家にとって)個々に取れるリスク量を大きくできるとメリットを説いている。
ブラウン氏らは、株式・債券間の相関について次のような傾向を指摘する:
「現在の米国ほか主要経済がそうであるように、インフレとGDP成長が緩慢になるにつれ、株式・債券の相関は低下しマイナスになる傾向がある。」
さらに、FRB利下げで、株式・債券のリターンはどう変化したのか。
ブラウン氏らは、1960年から2020年までのFRB初回利下げの前後6か月についてMSCI USA Index(米大型・中型株の指数)のリターンを検証している。
今回も過去の傾向が繰り返す保証はもちろんないが、1つのファクトとして貴重な知見だろう。
- この間ソフトランディングが9回、ハードランディングが10回あった。
- ソフトランディング(中央値): 6か月前から3か月後まで上昇、その後横這い。
- ハードランディング(中央値): 6か月前から3か月後まで下落、その後上昇。
- いずれの場合も、少なくとも利下げ後1か月ほどは上げ圧力となり、その後、経済実勢を反映していく。
- 1984年以降のソフトランディングにおいて、初回利下げ6か月ではグロースと大型株がアウトパフォームし、高配当とクォリティがプラスのリターン。
テクノロジー・ヘルスケア・生活必需品がアウトパフォーム。エネルギー・通信・金融が出遅れ。 - 債券はプラス。
やはり重要なのは、株式に下押し圧力が加わる景気鈍化の期間に、債券がプラスになっている点だ。
ブラウン氏らは、PIMCOの現在のマルチアセット戦略を明かしている:
したがって、PIMCOのマルチアセット・ポートフォリオは、少々米国をオーバーウェイトした株式と、フィクストインカムの両方にフォーカスしている。
フィクストインカムは特に質の高いコアの債券であり、顕著なリスク調整後リターンの可能性があると信じている。
債券ファンドとして高名なPIMCOが株式、それも米国株を重視しているのが1つのメッセージ。
さらに、分散を発揮するために質の高いフィクストインカムを選好しているのがもう1つ。
ブラウン氏らはフィクストインカムの中から、質の高いクレジットと住宅ローンが分散子として有効だと書いている。
また、テール・リスクなど大きなリスクへの備えとして、オプションやインフレ連動債が有効としている。