モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が、2025年の米市場見通し、米政策についてコメントしている。
明言したいのは、視聴者の皆さんは、マクロ経済の成り行きが依然としてとても不確実であることを理解してほしいということ。
今年と同様、年を通して(投資方針)が行ったり来たりするかもしれない。
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私たちはそうした状況を、わが社の流儀であるセクター選別で乗り切ろうと考えている。
ウィルソン氏が自社ポッドキャストで、2025年の米市場の見通しを語った。
率直に言って、ウィルソン氏は昨年まで苦戦していた。
相場をサイクル論で語る同氏だが、例外続きの今サイクルではその方法論がうまく行かないかに見えた。
しかし、今年に入って、ウィルソン氏のサイクル観が今回のサイクル終期を捉え始めたように見える。
決定的になったのは、FRB利下げ開始とレッド・スウィープ。
いっそうソフトランディング確率が高まったとし、モルガン・スタンレーは2025年末のS&P 500目標を6,500に引き上げている。
今ポッドキャスト時からは約9%の上昇となるが、理由は次のとおり:
- バリュエーション: 企業の利益が好調で利下げ時に倍率低下は予想しにくいが、5%低下を予想。それでも長い歴史では高い水準。
- 企業の利益成長: 年率約10-12%上昇を予想。
ただし、状況は依然として流動的だとし、政権が変わる今後2か月は高ボラティリティが予想されるという。
市場のコンセンサスと同じく、政策面では関税・移民政策が最大の潜在的なマイナス要因だとコメントしている。
少し前までは、市場における弱気派の代表格だったウィルソン氏も、今は(当面の)強気派に転じた。
同氏は、環境が上向いたことを理由に「プロ・シクリカル」(循環に対して順張り)になったと自認する。
ただし、ウィルソン氏は警戒をすべて解いたわけではなく、その語り口には迷いのようなものも感じられる。
「とても率直に言って、私たちがよりシクリカルな分野に方針転換した理由は、それらがさほど高くないからだ。
しかし、だからと言って、株価が高いという事実がなくなるわけではない。
だから、今回のこの分析は、なぜ倍率が高止まりしうるかを示すものである点を理解してほしい。」
高いのに高くない、倍率は下がるのに高止まりしうる、何とも苦悩に満ちた予想に聞こえる。
ウィルソン氏は得意のセクター選別について予想する。
- クォリティ: 金利はまだ高く、財務体質が重要。
- シクリカル: 金融、おそらくわずかに工業株。
- ディフェンシブ: 不確実な中「完全に投げてはいない」。ユーティリティはオーバーウェイト。規制緩和の恩恵もありうる。
- 小型株: 中立。もう少し金利低下、経済加速を待ちたい。
ウィルソン氏は、新政権に最も期待する点として「政府の効率についての議論」を挙げる。
「政府の縮小については、(政治の)能力や成功可能性に対する懐疑論が多い。・・・
私たちが望むのは、政府支出を凍結するようなことだ。」
理由は2つ:
- 金利と財政の持続性の決定要因。
- クラウディング・アウトが解消する可能性。
中でも後者のクラウディング・アウトの問題は、ウィルソン氏がこの数年繰り返し懸念を述べてきた点だ。
同氏は、政府が「中小企業や消費者をクラウディング・アウトしてきた」と指摘し、この部分を民間経済に戻せば、生産性上昇とともに経済成長の幅が広がると期待する。
景気がまんべんなく拡大するようになれば、株式市場にも好影響が及ぶという。
これが変化すれば、株価水準とその広がりにおいて、より健全な強気相場となりうるチャンスが醸成される。
家計や企業が支出しないといっては政府支出で補うことに慣れてしまった経済とは、ずいぶんと異なるマインドセットだ。
大きな政府が経済を改善するという考えは、少なくともそれが慢性的である場合、逆効果を疑うべきなのかもしれない。