投資

ハワード・マークス リスクは資産の質の関数ではない:ハワード・マークス
2024年9月19日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏による「リスクの考え方」の第7回「リスクと資産の質の関係」: リスクは投資先の質だけでは決まらない。


すべての投資家が学ぶべき最重要な点の1つは、リスクが資産の質の関数ではないということだ。
これも直感に反している。
質の高い資産は安全で質の低い資産はリスキーと信じる人がいるが、私はほぼ逆のことを信じている。
質の高い資産は価格が上昇し、それゆえにリスキーになりがちだ。

マークス氏が自社YouTubeアカウントで、投資リスクが投資対象の質とは必ずしも一致しない点を指摘した。
ディストレスト投資の草分けとして、自ら証明してきた命題だ。

マークス氏はいつものようにシティバンクでの自身のキャリアを回想する。
1960年代の終わり、同氏はいわゆるニフティフィフティ投資に配属された。
ニフティフィフティ銘柄はあまりにすばらしすぎて、どんなに株価が上昇しても誰も割高と考えることができなかったほど。
その後、これらは5年で実質90%超の減価を経験する。

株式が儲からなくなったため、マークス氏はフィクストインカム部門に転属になった。
そこで始めたのがハイイールドなどディストレスト投資だった。
しばしば《ジャンク》とも呼ばれる金融商品だ。
マークス氏はこれで大富豪の一員となったのだから、ゴミのように質の低いこれら投資がいかに儲かったかがわかる。
しかも、かなり安定的にトラックレコードを積んでおり、おそらくディストレストはやり方次第でかなり安全だったのだろう。
(実際、この分野では不況時にチャンスが訪れる。)

「質の低い資産の価格が十分に下がると、安全になることがある。」

つまり、リスクとは質と価格の関数なのだ。
だから、投資家がよい会社を探すのもよいが、その価格が適正か割高か割安かを考慮しなければいけない。
ここをきちんとやれている投資家はプロを含めてそう多くないのかもしれない。

マークス氏はこう結論する。

大切なのは何を買うかではなくて、いくら支払うかだ。
投資の成功はよいものを買うことからではなく、うまく買うことによって生まれる。
・・・
よいために割高・危険になりえない資産など存在せず、悪いために投資として魅力的なほど安くなりえない資産もほとんどない。

マークス氏は昔からウォーレン・バフェット氏を敬愛し、ともに代表的なバリュー投資家として高名だ。
バフェット氏もマークス氏のMemoや書籍を推奨するほどだ。
そのバフェット氏は若い頃、ベンジャミン・グレアムに学んだシケモク投資を試み、失敗している。
チャーリー・マンガー氏にシケモクでなく偉大な企業に投資するよう促され、バフェット流が始まった。

バフェット氏はシケモク投資を株式の世界で試みて頓挫した。
マークス氏は似たようなコンセプトをフィクストインカムの世界で試み、大成功を収めたことになる。

2024年9月 ハワード・マークス氏「リスクの考え方」ビデオ

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