金利上昇期の投資戦略
ダモダラン教授は金利上昇の投資への影響を尋ねられ、隠さず厳しい現実を語る。
隠れ場所は存在せず、すべての金融資産は影響を受け、株から債券に移したところで助けにはならない。
おそらく現金保有だろう。
金利上昇の弊害を避けるには現金保有しか手がないという。
(もっとも現金保有なら今度はインフレの影響を強く感じることになる。)
大きく趨勢的な金利上昇では、資本コスト上昇はあまねく資産価格の重しになる。
しかし、その時、現金保有に移行するなら、これはいわゆるマーケット・タイミングではないか。
自称マーケット・タイマーたちへのメッセージ
ダモダラン教授は、マーケット・タイミングについても、ほぼコンセンサス通りの持論を説明している。
「前世紀の銘柄選択の達人を振り返ると、信じられないような達人だった。
しかし、マーケット・タイマーはとなると、流れ星だ。
彼らは1回の市場サイクルの中で成功を収めるが、次のサイクルまで追いかけると、ヒーローから負け犬に転落する。
あたかも、単に幸運でマーケット・タイミングに成功したのに、自分の腕と過信して再び取り組むがうまくいかないかのようだ。」
いつものように冷静沈着にジクジクとディスっている。
たった1回の予想ゲームをものにして莫大な富を築く人がいる。
素直に祝福してあげたい。
ただし、その能力が持続的に有効かといえば、話は全く別だ。
「たった1度の大きな市場予想だけでどうしてよい点数をあげられるだろう?」
程度は違えど、宝くじに当たった人がいるからといって、次も当たる確率が高いわけではない。
マーケット・タイミングにおいても、過去の勝率と将来の勝率の間の相関が乏しすぎるのだ。
ダモダラン教授は、特に他人のお金を引き出そうとする輩に対し、厳しく批判する。
自称マーケットタイマーに対して、掛ける言葉を決めているという:
『自分のお金をお賭けなさい。
私は出さない。
私の経験から示唆されるのは、マーケット・タイミングは見果てぬ夢、ということだ。』