ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、2024年に起こりうる世界の変化を予想している。
a) 現在の市場価格はほぼファンダメンタルズに整合している(おそらく米債券・株式は少し割高)
b) (2008年のような)うまく対処できない大きな債務/貨幣/経済的問題は現状は予想されない。
ダリオ氏が自身のSNSで、2024年の市場・経済動向について概観した。
喜んではいけない。
ダリオ氏は、今年の主たるリスクが「債務/貨幣/経済」ではないと言いたいだけだ。
より大きな問題として国内対立、国際対立、気候変動がを挙げている。
ダリオ氏は、従前どおり、債務サイクルを長短に分けて論じている。
短期債務サイクル(5年近い):
「協調MP3政策」(協調的財政・金融政策)として第2次世界大戦後で最大。
景気悪化、刺激策、成長・インフレ、引き締め、成長・インフレ低下という古典的サイクルを踏んでいる。
長期債務サイクル:
「債務レベル(特に政府債務)は拡大を続け、最終的には是正されない限り持続不可能となり危機を引き起こすだろう。・・・
これら政策(つまり過剰な政府支出、実質金利を低位に維持し貨幣・信用を増やす中央銀行の政策による債務創出)がこれまで通り、また予想される通り続くなら、長期的には大きな財政問題を生み出すだろう」
ダリオ氏は市場の楽観に釘を刺す。
2024年の経済については(市場の)価格に反映されているほどにはインフレは低下せず、経済成長は高くなく、利下げ幅は大きくならないだろう。
ダリオ氏によれば、コロナ下で積み上がった余剰貯蓄がついに付き、リファイナンスで金利負担が増え、経済を下押しするという。
インフレについては、賭けるほどの正確さはないと断りつつ、市場予想より1%ほど高い水準にとどまるとした。
ダリオ氏の見方に大きな変化はないが、時間軸や強弱にいくらか変化があるようだ。
長期債務サイクルについては、時間軸が後倒しになっている。
数年前まではすぐにも危機が来そうな言いぶりだったが、今ではまだしばらくありそうなニュアンスだ。
一方で、国内対立、国際対立、気候変動(コスト)が2024年の主たるリスクとの考えだ。
地政学的リスクが高止まりしているほか、大統領選挙が大きなリスクとして認識されている。
他方、ダリオ氏が期待するのが人類の創意工夫と新技術による生産性上昇だ。
もっともそれはとっくに市場が織り込んでいるところだ。