ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、いつものように物事の定量化に励んでいる。
今回は、それぞれ数百の指標からなる21の評価項目により、今後10年で見た「強国インデックス」を定量化したという。
ダリオ氏が採用した4つの大項目は:
- 強さ: GDP、貿易シェア、教育水準、軍事など
- 健康度: 寿命、乳児死亡率、慢性疾患など
- 幸福度: 幸福度・人生満足度調査、自殺率、日々の幸福の報告など
- 実質成長率: 今後10年
これらを24の国・地域についてスコア化し自身のウェブサイトで公表している。
トップ10を抜粋すると
ダリオ氏は結果について
「幸福の測定値であるだけでなく、これら測定値は、政府がどれほどうまく状況を改善しているかの有効な主要パフォーマンス指標でもある。」
と書いている。
政府の通信簿としても使えるはず、と言いたいのだ。
こうした計算はもちろん1つの計算に過ぎない。
しかし、とても大きなデータセットについて、こうした計算を継続的に行おうという意欲には素直に敬意を払うべきだろう。
ユーロ圏を除外すれば、「強さ」の評価で日本は堂々の第4位だ。
ただし、他の項目に目を向けると《身体的にはとびきり健康だがさほど幸福ではない》という笑えない内容になっている。
たとえるなら《砂をかむような高齢化社会》といったところだろうか。
ダリオ氏と言えば、判断・業務の定式化・自動化に注力してきたことでも知られる。
今回公表された文書では、国ごとの解説・分析も書かれているが、それをAIにやらせているようだ。
様々な要因の寄与から、次のように日本経済の成長力の強み・弱みが分析されている:
日本の最大の相対的強みは、労働者が提供する教育レベル対比での価値と官僚制度のレベルだ。
最大の相対的問題は、債務と債務返済負担、縮小する労働力だ。
この分析とともに提示された表を見ると
- プラス項目: 教育、労働生産性、腐敗、官僚制、法の支配、イノベーションなど
- マイナス項目: 過剰労働、満足感、債務水準、金融政策
これらはあくまで相対評価だから、さほど驚きはない。
しかし、日本の「腐敗」がプラスとは、世界はよほど腐っているのだと連想させる。
さて、投資家へのインプリケーションは何か。
投資家が投資対象の地域を選ぶ時、どの項目を重視すべきか。
判断は読者にお任せしよう。