ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、自身のサイクル論を踏まえ現状を見直している。
債務危機は避けられない。
ダリオ氏が自身のSNSで書いている。
すぐに来ると言っているのかはわからない。
この論文には続編が予定されているから、そこで時間軸への言及があるかもしれない。
ここではまず一般論と解釈して、ダリオ氏の意見を拝聴しておこう。
「ほとんどの債務危機は、たとえ大きなものであっても、経済政策決定者によってうまく管理することができるものだ。
そして、危機がどう展開するか理解し、うまく乗り切る良い規律を持っていれば、投資家に投資機会をもたらすものだ。」
つまり、政府・中央銀行等に積み上がる債務がいつか危機に発展するが、正しい理解をもって臨めばむしろチャンスといいたいのだ。
ダリオ氏は、債務危機の諸局面で見られるスナップショットをいくつか挙げている。
債務危機の発生時に中央銀行が直面する政策選択上のジレンマはこうだ:
- 「ハード」マネー: 通貨の価値を守るため債務不履行を許容し、経済・市場を悪化させる。
- 「ソフト」マネー: 経済・市場を守るため貨幣を増発し債務を買入れ、結果として貨幣の価値を下落させる。
ダリオ氏によれば、最終的には必ず後者が選択されることになるという。
同氏は、貨幣増発をした方が債務危機にうまく対処できると考えている。
一方、債務危機下の緊縮財政(歳出削減・増税)については「誤り」と書いている。
では、何が正解なのか。
それが、かねてから説いてきた「美しきデレバレッジ」であり、以下2つのミックスである。
1) 債務リストラを行い、返済を長期化するか免除する(デフレ的・不況要因)
2) 中央銀行が貨幣を増発し債務を買い入れる(インフレ的・景気刺激的)
これら逆方向のベクトルを持つ政策をほど良いバランスでミックスすべきとの主張だ。
いずれも債務者にとって有利な政策になっている。
1)はデフレ的だが、それでも既存の債務者は債務(の一部)を逃れることになる。
投資家はこうしたミックスを踏まえて行動すべきと言いたいようだ。
こうした政策選択が社会や市場にとって最善かどうかは意見が分かれるところもあろうが、世の中がこういう方向に進みやすい、あるいは必然だ、というなら、相応の説得力も感じられる。