ボブ・ルービン、ローレンス・サマーズ両元財務長官がブリッジウォーター・アソシエイツとの座談会でドル相場について語っている。
ルービン氏は弁護士(ただしゴールドマン・サックス勤務)、サマーズ氏は経済学者のバックグラウンドを持ち、それぞれ異なる観点から意見を述べている。
長い目で見れば、ドル相場はおそらく2つの変数の関数だ。
1つは、米経済や米政治システムがどう機能していくか?・・・
そして、選択肢の存在だ。
ルービン氏が、ドル相場について大きな絵を語っている。
同氏は財務長官の頃、当時の貿易摩擦の標的だった日本に殊に厳しかった一方、「強いドルは国益」との考えを定着させた人物。
行き過ぎた円高ドル安を是正するため、サマーズ氏にその実行を託したことは有名だ。
ルービン氏は米国のダイナミズム、起業家精神への自信を示している。
「もちろん、ドルは様々な理由で上下に変動するだろう。
しかし、個人的には、いくらになるにせよ、米国が政治的混乱をきたさない限り、ドルを持ち続ければよいと考えている。」
ルービン氏は米国の繁栄を信じ、ドルにも強気だ。
一方、市場を熟知するサマーズ氏は、相対的にモノを見て予想を立てている。
私はドルが安定するとの見方に傾いている。
主な理由は、米国がひどく混乱するシナリオの場合、他の地域はもっと混乱する、あるいは、米国と同様に他の地域が混乱すると思えるからだ。
トランプ氏が再度大統領となり、世界の秩序が変化を余儀なくされれば、ドルも他通貨も《可能ならば持ちたくない》と思われるようになるとの推測だ。
サマーズ氏は、ドルの実質為替レートを割高と見ているが、相場はそれだけでは動かない。
ドル相場には相手通貨もあるし、市場の織り込みもあるからだ。
「もしも私が基金を運用していたとすれば・・・金に現在どれほどの安全プレミアムが織り込まれ、現在の金価格のどれだけが工業用途等による需要によるものか理解しようとするだろう。
もしも安全プレミアムが大きくないなら、すべての国の紙幣が問題を抱えた場合の行き先との理由から少し金を保有しようとするだろう。
しかし、そのアイデアを作り上げるには、織り込み済みを把握する必要があり、私にはその見識がない。」
洗練されたマクロファンド運用者を思わせるほど、サマーズ氏の見方は整理されている。