ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、100年前と現在の状況の類似性についてまとめている。
以前述べた理由により、現在と最も類似した時期は1930-45年の時期であり、そのため私はこの時期に最も注目している。
ダリオ氏が自身のSNSで、バイデン政権とルーズベルト政権の間の類似性を検証している。
ダリオ氏が最初に現在唱えているような大きなパラダイム変化を予想し始めた時、当時と最も類似した時期を1937年と言っていた。
その後、経済・市場は多くの人が予想しない展開を見せ、1937年との類似は揺らいでいるように見えた。
まだ1937年は来ていないとの印象が強かった。
ダリオ氏を信じるにしても、今はいったい100年ほど前の何年に当たるんだという話になる。
このSNSポストでは、コンパクトに両期間を対照している。
どのような対応にあるかを書き出してみよう。
100年前 | 近時 | 特徴 |
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狂騒の20年代 | 2000-07年 | 負債拡大、富の格差。 引き締めでバブル崩壊。 |
グラフで1934年頃 | グラフで2008年、2020年頃 | ゼロ金利、量的緩和。 長期金利もゼロ近傍へ。 |
1933年 | 2021年 | 左派政権誕生。 刺激策・再配分を積極化。 財政悪化。 富裕層への増税、債務の貨幣化。 |
グラフで1935年頃 | (未実現) | インフレが危機前の水準。 低い実質金利でリスク資産上昇。 |
ダリオ氏は両大統領の公平性・格差・企業・相続税についての発言を並べ、時代背景を考えれば、両者の考えが似てくるのは当然と述べている。
インフレが危機前に戻ってくる過程で何が起こるか、もう1度読み込んでおこう。
短期金利は、ゼロ近傍に固定され、インフレ上昇により悲惨な投資となったが、そうした低金利で借金してキャリーを稼ぐ(つまり、借金して債券を保有する)ことができる。
債券保有は悲惨な金利でありながら、利益のある投資となった。
でも、インフレが上昇したために、現金は名目でゼロ・リターン、実質で大きなマイナス・リターンとなり、現金は最悪の投資(つまりゴミ)であった。
こうした低金利では、低金利と貨幣増発がほぼすべてのもの、とりわけ金と株式の価格を押し上げた。
いつものとおりのダリオ氏の主張だ。
経済が危ない橋を渡っていることが分かっていながら、投資ではリスクテイクをせざるを得ないと考える理由だ。
ここで注意したいのは、仮にダリオ氏の予想が当たるとしても、時期まではわからないこと。
特に、1934年にあたる時期が2008年だけでなく2020年にも訪れたことは、将来を予想することの難しさを示している。