もちろんマーケット・タイミングを仕掛けるのは概して無謀だ。
しかし、かの賢人ハワード・マークス氏でさえ『市場サイクルを極める』という書籍を書いている。
今が市場サイクルのどこなのかを知りたいと思うのが人情というものだ。(12月18日 浜町SCI)
経験則どおりの展開
現在のFF金利誘導目標は5.25-5.50%。
最後の利上げは7月25-26日のFOMCでの25 bp。
今月12-13日のFOMCでは、FRBは大きくハト派に転回し、政策転換が示唆された。
もしも本当にそうなるなら、7月が今サイクルでの最後の利上げということになる。
これを受けて、債券・株式ともに買われている。
こうした動きは経験則どおりだ。
米市場は利上げ終了後しばらく上昇をする傾向がある。
しかし、利上げ終了の意味を知っている人には、この上昇が奇妙に見えるかもしれない。
《永遠のブル》と言われるジェレミー・シーゲル教授もこの点を強調している。
利上げの終了とはインフレの鎮静化を示し、その背景には景気の鈍化・悪化がある。
すべてはラグを理解することから
中央銀行の金融政策が経済に影響を及ぼすにはラグがつきものだ。
(金融市場への影響ははるかに速やかに進む。)
金融引き締めからラグがあって経済にブレーキがかかる。
ブレーキの踏み方が必要最小限だったか、過剰だったかは後にならないとわからない。
米市場には《景気は時間経過により終わるのではない。中央銀行がこっそり殺すから終わるのだ》という言葉があるのだという(故スコット・マイナード氏がそう言っていた)。
必要最小限の匙加減はやはり難しいのだろう。
ここで注意したい2つの点は
- 最後の利上げが7月になるなら、すでに4か月前が経過している。
- 市場は景気に3四半期前後先行する。
仮に来年中に景気後退入りするなら、株式市場のピークアウトが迫っている可能性もあるのだ。
ただし、ここまでの上げ相場の背景には異例の規模の財政政策があること、債務を抱えているのが政府であることを考えると、ラグが大きくなる可能性もある。
(次ページ: 強気相場継続の可能性も)