モルガン・スタンレーのアンドリュー・シーツ氏が今第3四半期の3大リスクを挙げ解説している。
私たちが考えるうち3つ目のリスクが最も深刻なものだろう:
経済データがモルガン・スタンレー予想よりはるかに弱くなるというものだ。
シーツ氏が自社のポッドキャストで、米経済の予想以上の鈍化を最大のリスクとして挙げた。
1つ目の「おそらく最も穏やかな」リスクは、リスク資産市場が8-9月に弱いというアノマリー。
2つ目の「最も注目を浴びている」リスクは、市場のローテーションにともなう大型株やテクノロジー株のアンダーパフォームだ。
「経済データが弱くなれば、より大きなFRBやECBの利下げにつながるだろう。
しかし、歴史が示唆するのは、これが悪い取引ということだ。
成長鈍化にしたがいFRBが大きく利下げを強いられる場合、しばしば手遅れになる。」
特に株式市場はこれまで《ゴルディロックス》というパワーワードを用いて、経済データに対し都合のいい解釈を続けてきた。
よい経済データに対しては素直に前向きにとらえることが多いわりに、悪いデータに対してもFRBプットを当てにして楽観的に反応してきた。
しかし、長い目で見れば、多くの景気・市場サイクルは金融引き締め後ある程度の間をおいて終焉を迎えるのだ。
金融引き締めがインフレを予防しきれないのと同様、その後の金融緩和への転換も景気後退を予防しきれないことが多い。
シーツ氏は特に2点、心配事を挙げている:
- 利下げから効果までのタイムラグを考慮すると、FRBに過信があるのではないか。
- インフレが急激に2%に向け低下していることから、金利は高すぎるのではないか。
クレジット市場での経験も多いシーツ氏は、特に同市場について、あまり都合のよい解釈は続けられないと予想しているようだ。
「私たちは、クレジットについて、よいデータはよいニュースだと考えている。
弱いデータが出てくれば心配だ。」
明示的にクレジット市場を対象にしているところを見ると、シーツ氏はまだ、株式市場もご都合主義をやめるとは確信できていないのだろう。
ただ、同氏が語る内容が中期的な市場サイクルを念頭においたものなら、クレジット市場だけがサイクルを終えるという可能性はむしろ小さいと考えるべきなのだろう。