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今後5年ほどで灯る赤信号:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、長期サイクル終期において日米で起こっていることを解説している。


日本で起こっていることが最悪だ。
日本がやったのは、大量の貨幣を増発し、通貨を押し下げたこと。・・・
日本の債券保有者は、購買力にして価値の80%を失った。

ダリオ氏がThe Prof G Showで、日米が長期サイクル終期で直面している現状を解説した。
実質ベースの債券利回りが長期にわたってマイナスに抑制されてきた様子を語っている。

「次に米国で起こると考えているのは、消費のスクイーズだ。」

米連邦政府の財政が悪化し、今後給付等に悪影響が及ぶ可能性があり、そうなれば消費を下押しするとの見方だ。
年金等の給付が制限を受けるのなら重大な問題だろうが、ダリオ氏が恐れるのはその次だ。

「本当の問題は、債券が売られ始めること。」

債券利回りが十分でないと投資家が思い始めた時、債券は売られ、債務者、特に債務の大きい国家は窮地に陥る。
ただし、ダリオ氏はそれがいつになるかは予想できないという。
そう言いつつも、背筋が寒くなるようなホライズンに言及した。

次の赤信号は、FRBほかの中央銀行が再び介入し(債券を)買い入れる時だ。
その次の危険地点は、次の経済悪化期だ。・・・
おそらく最もありそうなのは今後5年以内ぐらいだ。

そうした「ブラックスワン・シナリオ」が発生した場合、何が投資機会になりうるか尋ねられると、ダリオ氏はいくつか可能性を挙げている。

  • 金と物価連動債の組み合わせ: 相関係数は16%と低い。
  • その他、無相関または負の相関の組み合わせ: 分散によるリスク低減が可能。
  • 戦争オプション: 「誰も、同盟国に対してでも貸したがらない」ため、共通通貨が何になるかが重要。

なるほどダリオ氏らしい選択だが、いずれもバラ色といった印象ではないだろう。
むしろ投資価値のロスを減らすといった消去法の印象が強い。
前向きな投資が困難な時期を想定しているのだろう。

「概してほとんどの資産はレバレッジのかかったロングになっている。
貨幣増発はいつもと同様それら資産の一部を押し上げるが、環境は1970年代・1930年代と似たものになろう。
これらの時代、株式は実物資産に対して実質ベースで劣ったパフォーマンスだった。」

金融緩和がレバレッジのかかった金融資産の価格を押し上げるのは世の常だ。
ただ、程度次第では、資産価値が上がったというより、物差しである通貨の価値が低下したにすぎない状況も起こりうる。

ダリオ氏はビットコインに対するスタンスも尋ねられている。
いくつも理由を述べた後、あまり前向きでないトーンで締めくくった。

「『金は他の誰かの支払いに依存しない唯一の資産だ』という言葉があり、私はビットコインより金の方がいい。」


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