PIMCOのリチャード・クラリダ氏らが、債券投資への強気を強めている。
債券ファンドとしてある意味当然なのかもしれないが、株式投資の先行きの裏返しとして眺めておいて損はない。
6月5日付「長期経済展望」では、まず3つの重要な観察が述べられている。
- 財政刺激策: 効果もあったが、付けも回ってくる。
- AI: 生産性上昇に寄与するが、実現までには時間がかかる。
- 資産バリュエーション: 多くの資産クラスで割安でない。
こうした前提の下、PIMCOは公募債券市場に改めて注目しているという。
株式の(CAPEベースの)イールド・スプレッドが小さくなっている点などを挙げ、債券の優位性を主張。
大きなリスクをとることなく6-7%前後のポートフォリオを構築できると自信を示している。
資産配分については、60/40の40より大きな配分を検討するよう促している。
それほど現在の債券利回りが魅力的で、それが「クッション」の役割を担うと考えているのだ。
PIMCOが想定するシナリオは、注目する年限に表れている。
「PIMCOは現時点で、イールドカーブの5年債のゾーンに価値を見い出しており、長期部分については財政上の懸念からアンダーパフォームする可能性を警戒しています。
今後5年間は、債券のアクティブ運用は、景気後退が起こらなければ良好なパフォーマンスを記録し、景気後退が起きた場合には、パフォーマンスがさらに向上する可能性があります。」
金利低下をともなう景気後退があるとすれば、5年より近い将来。
キャピタルゲインの可能性があることから「債券は現金に比べて魅力的」というのだから、金利低下局面の可能性が小さくないと見ているのだろう。
5年以上になると、財政悪化等に起因し金利が上昇するというシナリオのようだ。