モルガン・スタンレーの資産運用部門リサ・シャレット氏が、米市場の現状と対処法を簡潔にレクチャーしている。
近時の経済データは必ずしも、経済が次第に鈍化しインフレも低下するという経済の『ソフトランディング』から遠ざかる兆しを示すものではない。
しかし、これらデータは、他の変数がより厳しい状況を投資家に強いるような背景の中で起こっている。
シャレット氏が自社ウェブサイトで5日、足元の米経済・市場の状況を解説した。
最近の米経済指標の悪化は、米市場ではすでにコンセンサスになっている。
とはいえ、まだ景気の鈍化との見方が大勢で、景気後退を指し示す人は多くないようだ。
それでも、市場参加者は相当に熱を失っているように見える。
シャレット氏が指摘した、投資家にとって厳しい「変数」とは
- 根強いインフレ懸念: スタグフレーション懸念が強まれば、株式・債券の両方に不利に。
- 政策の不確実性の増大: 現在マイナスまたは小さいリスクプレミアムを拡大させかねない。
- 市場流動性の低下懸念: 季節性や政策により流動性が低下しボラティリティが上昇しかねない。
これら逆風の中での景気鈍化であることから、シャレット氏は「おそらく警戒するのが正しい」との判断を示し、その上で3つの対処法を挙げている。
- 投資分散: 資産クラス、セクター、地域で「最大限の分散の重要性」。
- 米株価指数: 時価総額加重平均ではなく単純平均の指数を選ぶべき。
- オルタナティブ等: ヘッジファンド、投資適格クレジット、高格付け地方債、金、住宅用不動産を組み込め。場合によっては未公開投資商品も。
ソフトランディングのシナリオを継続しているにしては、相当に苦心しているように見える。
インフレ懸念の中で債券を増やすのを躊躇しているのか。
なんとか厳しい時期をリスク資産中心で乗り切ろうという意思が見て取れる。